「教育旅行メタバース」や「学習×休暇」 日光市、独自の教育施策を展開


「日光の社寺」ルーム

 世界遺産「日光の社寺」や鬼怒川温泉、川治温泉といった温泉郷など、豊富な観光資源を持つ栃木県日光市は、教育旅行の誘致活動を推進している。近年は新しい教育旅行コンテンツの企画や、市内の教育施策にも力を入れており、3月18日には教育旅行の事前学習などで活用できるメタバース空間「日光市教育旅行メタバース」を公開したほか、今年4月からは体験学習目的で市内の小中学生が保護者と一緒に休暇を取得できる制度「ちょこっとスタバケ日光」をスタートする。

 3月26日、同市の上中哲也副市長と観光経済部観光課の福田初枝課長が東京・池之端の観光経済新聞社を訪れ、概要を説明した。
 教育旅行誘致の一環で今回リリースしたメタバース空間は、修学旅行の前後に活用してもらうことを目的に企画された。

 NTTコノキューが提供する、ウェブブラウザ上の仮想空間プラットフォーム「DOOR(ドア)」を使用しており、バーチャル空間でイベントの開催や講義、コンテンツの展示などが可能だという。学校単位でルームを提供し、ルーム内のコンテンツの編集や更新は各学校の教職員が操作できる仕様になっている。

 旅行前の事前学習で生徒の興味を喚起するだけでなく、旅行後に生徒が作成する学習レポートなどはルーム内に展示され、保護者も入室して閲覧できる。

 上中副市長は公開したメタバース空間について、「公開日だけでも3千件ほどアクセスがあった。子供たちにはゲーム感覚で楽しく学習してもらえるだけでなく、教職員の皆さんにとっても事前学習の提供がより便利になるというメリットがある。今後は関東のみならず東北エリアの小中学校などにも誘致活動を展開していきたい」と語った。


「日光の社寺」ルーム

 教育やレジャー目的での旅行先として豊富な観光資源を有する日光市だが、こうした地域特性から、観光産業をはじめとしたサービス業に従事する市民が多く、小中学校が休校となる土日祝日に保護者との時間を作ることが難しい家庭が少なくないという。こうした地域課題を打開すべく考案されたのが、今年4月から導入される「ちょこっとスタバケ日光」だ。

 「スタバケ」とは、スタディ(学習)とバケーション(休暇)を組み合わせた同市オリジナルの言葉で、登校日である平日に生徒とその保護者が一緒に休暇を取り、校外での体験学習に活用できる制度。

 市内の小中学校に通う児童・生徒が対象で、年度内に3日取得できる(連続も可)。利用した日は「出席停止・忌引等」と同じ扱いで「欠席」にはならない。制度を利用する際は事前に「届出シート」を学校に提出し、取得したことで受けられない授業については家庭での自習で補う。

 取得した日の活動例は自然観察や施設見学、各種体験活動から、スポーツやアウトドアなどの屋外活動や家族旅行に至るまでさまざま。届出の申請処理にかかる教育現場の事務負担をかけないよう、活動内容の制限は特に設けない。活動のポイントとして「保護者と一緒に過ごすことが大切」としており、子供と一緒に体験学習できる時間を市が提供することで、保護者等のワークライフバランスの充実を図ることができるという。

 福田課長は、近年同様の取り組みが他県でも実施されていることについて触れた上で、「隣の茨城県でも同様の制度がある。体験学習を目的に隣県に足を延ばすという形で相互交流が生まれるとよいと思う」と期待を膨らませた。


上中副市長(左)と福田観光課長

 
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