「世界温泉地サミット」、別府で世界初開催 16ヵ国から1千人が参加


16カ国から温泉地の関係者らが出席(前列右から5人目が広瀬知事)

 世界初となる「世界温泉地サミット」が26日、大分県別府市のビーコンプラザで開かれた。日本のほか、アジアと欧州を中心に16カ国から温泉や行政の関係者ら約千人が出席、温泉資源の活用や温泉地の課題解決について意見、情報交換した。サミットの継続などを盛り込んだ「世界温泉地サミット宣言」も採択した。会場内では、「世界温泉地観光物産展」も26~27日に同時開催された。

 テーマは「世界の温泉地が拓く地域発展の可能性~温泉がつなぐ地域資源の多様な活用方法」。国内からは75自治体と100を超える団体が参加した。

 主催者あいさつした実行委員会会長の広瀬勝貞大分県知事は、県が源泉数、湧出量とも日本一であることをアピールするとともに、「世界規模での交流が大切。温泉の魅力発信や多面的活用について活発な議論を期待する」と歓迎した。

 この日は中川雅治環境相が来賓出席。県が「(サミットの)第1回開催地として歴史に名を残すだろう」とたたえ、「温泉は高齢化社会の直面する課題に貢献できる。温泉資源の持続的な利用と温泉地の活性化に取り組んでいく」とあいさつした。

 「サスティナブル・ツーリズムと世界の温泉地のさらなる発展可能性」と題して基調講演した前国連世界観光機関(UNWTO)アフィリエイトメンバー部門長のヨランダ・ペルドモ氏(スペイン)は、カナリア諸島やウルグアイで観光プロモーションや温泉地開発に関わった経験を語り、「官民が連携して観光商品の特色を出し、ブランド構築することが大切」と強調。「日本は西欧にとってインスピレーションの元」とも述べ、日本の精神性を生かしながら温泉を生かすチャレンジを求めた。

 フランスやイタリア、アイスランドの出席者による事例発表も行われ、カンパニー・ド・ヴィシーCEOのジェローム・フリポ氏は、フランスにおける温泉資源を活用した観光客誘致策を述べた。

 さらに、観光、医療・健康・美容、エネルギーの3テーマで分科会があり、論点を掘り下げた。

 観光分科会では、パネリストとして、桑野和泉由布院温泉観光協会会長、涌井史郎ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構会長、デーヴィッド・ジェームズバース市観光局長、ジェローム・フリポ氏、ヨランダ・ペルドモ氏が出席し、持論を展開。亜細亜大准教授の久保田美穂子氏がコーディネーターを務めた。

 桑野氏は「地域との共存が大事であり、サスティナブル・ツーリズムのために独自の条例を作り取り組んでいる」ことを紹介。涌井氏は人口減少や高齢化に伴う旅行市場の縮小に危機感を示すとともに、「旅の始まりは巡礼であり、信仰の力を借りて心を洗うことから始まった。心と体を洗い直すのは温泉に尽きる」と述べ、温泉の持つ力に期待を寄せた。

世界温泉地サミット宣言

 我々、世界の温泉地のリーダーは、日本国大分県別府市で開催された「世界温泉地サミット」において、主題である「世界の温泉地が拓く地域発展の可能性」について情報を持ち寄り、活発に議論した。今後、世界中の人々が温泉の魅力を理解し、利用していただくことにより、世界の温泉地がさらに発展していくことを期待して、次のことを世界に向けてアピールし、実践することを表明する。

1、世界の温泉地発展への貢献

 我々は、地球の恵みである温泉資源について、本サミットを通じて得た世界の温泉文化や温泉資源の活用事例、専門的知見、多様な主体とのネットワークを最大限生かし、温泉に関するデータベースの構築に取り組むとともに、新たな価値の創造と相互交流を図りながら、世界の温泉地の発展に貢献する。

2、温泉と観光振興

 観光は、貧困や富の不平等の軽減、文化の保存、無形有形遺産の保護、ジェンダーの平等の促進、そして、環境・社会・経済の発展と持続可能性の向上において、改革の力をもつツールである。

 温泉は、観光分野において重要な自然・文化資源である。環境意識の向上を図り、自然の恵みである温泉資源を維持するとともに、地域の特性に応じた差別化によって魅力を高めるなど、これまで以上に誰もが楽しめる温泉観光の実現を目指す。

3、温泉の医療・健康・美容への利用

 温泉は、医療・健康・美容分野において非常に有益な資源である。産学官連携による研究を進め、人類共通の財産として、温泉の新たな可能性と魅力を発信しながら、これらの分野への活用を推進する。特に、温泉利用がこれまでのクア(療養)に加え、ウエルネス(健康・美容)へと拡大していることに注目すべきである。

4、温泉のエネルギー利用

 温泉は、エネルギー源として、さらなる活用が期待される資源である。エネルギー多様化の時代を迎え、温泉資源の保護・自然環境等との調和等を図りながら、発電や地域冷暖房、農業や水産業と一体となった熱利用など、様々な分野でのエネルギー利用を進めていく。

5、世界温泉地サミットの継続

 我々は、以上のような目的をもって、世界の温泉地のリーダーが継続的な情報共有や議論をするため、サミットの開催を継続していく。

 以上、ここに宣言する。

2018年5月26日


16カ国から温泉地の関係者らが出席(前列右から5人目が広瀬知事)

 
 
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