【道標 経営のヒント87】インフォメーションブックの役割 その2 宮坂学


 前回に引き続いて、宿のインフォメーションブックについて述べてみたい。

 どんな宿に泊まっても必ずその内容を見るようにしている。今まで見た中で、これはすごい!と感じたのが有名観光都市のあるホテルのインフォメーションブックで、持って帰るわけにもいかないため、全ページをスマホのカメラで撮影させてもらって、大切な資料に加えている。

 何がすごいかというと、前回も述べたようにお客さま目線で作ってあることに加えて、あらゆる人が利用シーンを思い起こさせる内容になっていることだ。「こんなサービスや施設があります」という表現だけでなく、「こんなふうに楽しんでみてください。こんな使い方ができます」と一歩表現を進めてある。

 館内施設の紹介も情報の羅列ではなく、何時頃がピーク時間か、利用するとどんなメリットがあるかがイラストなども入れながら紹介されている。別ページには旅先での過ごし方や体調管理のアドバイス、市内散策のポイント、館内で販売している自館商品の誕生秘話、スタッフのコメントなどがあって読み物としても楽しく、思わず利用してみたくなる。

 宿のウェブサイトの多くに「過ごし方」というページを多く見るが、それを見てその宿に宿泊した場合、手にするのが無機質なインフォメーションブックでは、あまりにもイメージの落差が大きい。来館されたときにこそ、「過ごし方」がわかるようにアピールするべきだと思う。

 また、インフォメーションブックを整備する上で避けて通れないのが「多言語化」の問題だ。日本語プラス英語の表記が多いが、インバウンド客が増加していることから中国語(簡体字、繁体字)や韓国語なども併記した内容に作り替えている宿もある。多分、そういう表記が望ましいとは思うが、サービス上、スタッフの語学教育との兼ね合いがあるため、手をこまねいてしまうケースも見受けられる。

 試しに、何種類かのインフォメーションブックをアメリカの友人と、中国人の翻訳家に見てもらったらユニークな指摘を受けた。前者は、かしこまった表現よりも、もっとフランクな内容にしてみたらどうか、という。その宿の楽しさが伝わってきたら、到着後も参考にしたくなるだろうという。

 また、後者からは翻訳方法の指摘を受けた。言葉の本質的な意味合いではなく、語り言葉での翻訳になっている部分が多く、理解しにくい箇所があるという。つまり、お客さま目線で見れば、さまざまな改善の余地があることがわかる。

 お客さまアンケートなどで、善し悪しを尋ねてみてはどうだろうか。

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