静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合の女性部会「あけぼの会」(稲葉きみ江会長)はこのほど、女将のための地震初動マニュアルを作成し、県内の同会メンバーらに配布した。8月24日には静岡県の川勝平太知事らを表敬訪問し、マニュアルの完成報告を行った。
マニュアルは強い地震が発生した際、女将が直面するであろう課題を整理し、「いつ、何を、どうすればよいか」のポイントやコツをまとめたもの。女将という役割から、特に宿泊客への安心・安全の提供を意識したものとなっている。
昨年8月の駿河湾地震を契機に、「地震発生時の宿泊客の安全を確保する体制を整えることが喫緊の課題」として、女将の代表者からなる検討会で、地震対策の専門家の意見を聞きながら、中身を検討してきた。
女将による女将のための地震対策マニュアル作成は全国でも例がないという。
マニュアルは施設のフロントなどに設置するカード版と、その解説書としての役割を持つ冊子版で構成。カード版は11枚構成で、地震発生直後から、緊急事態終了時まで、それぞれのタイミングで行うべきことをチェックリスト方式で掲載している。冊子版にもカード版と同様の内容を掲載している。
8月24日は稲葉会長ら同会のメンバーと、マニュアル作成に協力した富士常葉大学環境防災学部の小村隆史准教授らが静岡県庁を訪れ、川勝知事、岩瀬洋一郎副知事らにマニュアルの完成を報告した。知事、副知事らは「内容が分かりやすく、女将さんたちの熱意を感じた。このマニュアルをぜひ全県に普及させてほしい」などと答えた。
マニュアルは女性部会メンバー162人ほか、同県の全旅館組合員に配布する予定。またマニュアルを利用した研修会も予定している。
川勝知事を囲む女性部会のメンバーら