阪急阪神ホールディングス(HD)は3月26日、07年度から6カ年の中期経営計画を発表した。旅行・国際輸送部門については、来年4月をめどに事業再編を行う方針を打ち出し、最終年度12年度には営業収益1002億円(06年度予想は913億円)、営業利益62億円(同45億円)の目標を掲げた。
旅行部門では「特徴ある商品開発による高付加価値商品の拡充」を基本方針に、(1)消費者の支持獲得に向けたお客さま満足度の向上(品質管理、CRMの徹底)(2)販売力の強化(ブランドマネジメントの徹底、企画旅行商品や法人顧客への販売強化)(3)コスト削減による利益拡大のための基盤整備(仕入れ部門の整備・強化や後方・管理部門の構造改善)――などの事業を展開する。
事業再編では、阪急交通社が旅行、国際輸送の両事業を統括する中間持株会社に移行。その傘下に、阪急交通社の旅行部門を継承する会社と国際輸送部門を継承する会社、阪神電鉄の旅行部門会社(阪神電気鉄道・航空営業部=阪神航空)と国際輸送部門会社(阪神エアカーゴ)の4事業会社を並列に置く。
阪急交通社の小島弘社長は3月29日、都内で記者会見し、来年4月の事業再編について「競争力の強化を図るとともに、将来の事業再編に対して柔軟に対応できる体制を構築する。阪神電鉄の両事業とは対等な関係でスムーズな連携、統合を目指していくのが基本的な考え」と述べた。
阪急交通社は中間持株会社への移行に伴い、旅行部門と国際輸送部門を分社化する。(1)迅速な意志決定(2)各事業領域に即した諸制度の導入(3)社員のモチベーションアップ――につなげる。
阪急交通社と阪神航空は昨年10月から、旅行部門の統合効果の具体化に向けた検討を進めている。一部で業務提携も始まり、3月23日からは両社の各店舗で相互のオリジナルブランド商品の販売を本格スタートさせている。
会見では06年度決算見込みを発表。阪急交通社グループの旅行事業(単純合計)は、取扱高3887億円(前年度比0.1%増)、営業収益349億2千万円(同8.6%増)、営業利益13億8千万円(113.1%増)、経常利益15億9千万円(同36.4%増)。
会見する小島社長(左)