長崎県は、対馬などの離島で宿泊代や土産、食事代に使える旅行者向けのプレミアム商品券を4月から販売している。千円券6枚が1セットで販売価格は5千円。20%のプレミアムを付けた。離島だけの共通商品券で、観光客向けに発行されるのは全国初の試みとなる。
「しま共通地域通貨」(愛称「しまとく通貨」)が使えるのは長崎県内の離島、五島、壱岐、対馬、小値賀、宇久。離島便が就航する長崎港、佐世保港、博多港、長崎空港、福岡空港など41カ所で発券している。
1回の旅行につき1人最大6セットまで購入が可能で、最大6千円のプレミアムが付く。使用期限が購入日から6カ月間と長いのも特徴だ。
しまとく通貨は、“内需”の拡大を促す地域振興券とは異なり、“外貨”の獲得が目的のため、島外から観光や仕事で訪れた人だけが購入することができる。利用できる店舗は約千店。レンタカーやガソリンスタンド、スーパーマーケットなどでも幅広く利用できる。
同商品券は2016年3月末まで3年間販売する。1年間の発行総額36億円のうちプレミアム分の6億円は、7割を過疎対策事業債で賄い、残りを県と事業主体であるしま共通地域通貨発行委員会で2分する。
島全体の観光客数は年間95万人で観光消費額は300億円。同事業により観光客数は10万人増、観光消費額は1割増の330億円を目指す。
年間販売目標は60万セットで1月あたり5万セットとする。まだ十分に情報が浸透していないため4、5月の販売状況は低調だが、確実に増加傾向にある。
17日に東京で行われた「しまとく通貨」の説明会であいさつした、同委員会の内田正二郎事務局長は「公共事業はハード事業が中心だったが、ソフト事業は初の取り組み。3年間で定着させて次につなげたい」と述べた。
離島は過疎化・高齢化が進んでおり、観光客を呼び込んで地域経済の活性化を目指す。内田事務局長は「離島振興の切り札」と強調した。
全国の旅行会社とのタイアップも行っており、旅行商品の特典として使用できるバラ券も発行している。現在38本の旅行商品とタイアップを行っており、ネット系の、るるぶ、じゃらん、楽天トラベルでも取り組みが始まっている。今後も旅行会社に積極的にアピールしていきたい考えだ。
販売中のしまとく通貨(見本)