東京都内の宿泊3団体は9月30日、震災発生後、建物に倒壊の危険があるか否かを判定する被災建築物応急危険度判定員に客室を提供する協定を都と締結した。派遣された判定員に宿を提供することで、速やかな判定作業をしてもらい、都が目標とする震災後7日以内の被災者の帰宅や2次災害の防止を図る狙い。3団体は今後、傘下の組合員・会員に対し、客室提供への協力を呼び掛ける。
都と協定締結したのは、東京都ホテル旅館生活衛生同業組合(今井明男理事長)、全日本シティホテル連盟関東支部(星野武支部長)、東京都簡易宿泊業生活衛生同業組合(田村康博理事長)の3団体。
被災建築物の応急危険度判定制度は、余震による2次災害の防止や、被災建築物の早期の復旧、被災者の速やかな帰宅を目的に都が制度化したもの。建築士など、建築の知識を持つ判定員が建物の外観から目視による調査を行い、当面の使用の可否を判定する。判定は「調査済」「要注意」「危険」の3段階。建築物に判定ステッカー(調査済=緑、要注意=黄、危険=赤)を貼付し、建築物の所有・使用者や歩行者に告知する。
調査対象は民間の戸建てまたは9階以下の共同住宅。判定員が2人1組で調査・判定に当たり、震災後7日以内に作業を完了させる。
都には9100人の判定員が登録。ただ、判定員自身が被災者となり、作業に携われないことを想定し、都では必要人数を確保するため、周辺9県と判定員の派遣に関する協定を締結している。
今回の協定締結では他県などから派遣された判定員の宿泊確保を図る。
震災が発生した際は、宿泊3団体の中で、客室提供に賛同した施設に判定員を宿泊させる。宿泊施設には区市町村など判定の実施主体から宿泊代が支払われる。
締結式は都庁で行われ、宿泊3団体のトップと東京都の河島均技監が出席。河島技監は「判定員がしっかり睡眠をとり、仕事に携われるように環境を整備しなければならない。3団体にはご協力をお願いしたところ、快くおこたえいただいた。都の災害対策で大きな前進になった」とあいさつ。3団体からは「多くの組合員が賛同するよう努力する」「判定員の皆さまに安心してお泊まりいただけるようにしたい」と述べた。
締結書を手にする東京都の河島技監(右端)と宿泊3団体のトップ