越後湯沢で訪日シンポジウム、地域づくりや誘客で提言


パネルディスカッション

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 国土交通省北陸信越運輸局とVJ大使の会は5月27日、ビジット・ジャパン・シンポジウム「2016VJ大使の集いin雪国観光圏」を新潟県・越後湯沢温泉の湯沢東映ホテルで開いた。地元観光関係者を中心に130人が参加した。

 観光庁が訪日旅行の促進に優れた功績があるとして認定したビジットジャパン大使56人のうち12人が参加した。観光庁の蝦名邦晴次長、岡野まさ子国際観光課長、北陸信越運輸局の江角直樹局長が出席。日本政府観光局(JNTO)の山崎道徳理事も列席した。地元から泉田裕彦新潟県知事、寺田吉道新潟県副知事、田村正幸湯沢町長、富井松一越後湯沢温泉観光協会長らが出席した。

 参加したVJ大使は、泉登美雄氏(秋葉原観光推進協会理事・事務局長)、甲斐賢一氏(ホテル風月HAMMOND社長)、小柳淳氏(小田急トラベル社長)、澤功氏(澤の屋旅館館主)、高橋正美氏(富士箱根ゲストハウス代表)、波木恵美氏(鬼怒川グランドホテル夢の季社長)、西村紘一氏(プライムトラベルグループ会長)、東良和氏(沖縄ツーリスト会長)、ベルナール・デルマス氏(日本ミシュランタイヤ会長)、山崎まゆみ氏(温泉エッセイスト)、横江友則氏(大阪メトロサービス常務)、吉澤勉氏(シダックス経営企画本部長)。

 雪国観光圏代表理事の井口智裕氏は「真白き世界に隠された知恵と出会う」と題して講演した。雪国観光圏設立の経緯について「北陸新幹線の金沢乗り入れが越後湯沢にとって脅威と感じた。エリアの魅力を出していかなければ地域間競争には勝てない」と説明。その上で「県外から訪れる観光客は『宿』だけが目的ではない。『地域』としてどのようにもてなすのかを模索した」と話した。

 井口氏は、地域ブランドの中心軸に地域独自の価値である「雪国」を据え、雪国文化に共感してくれる層を1年間かけて調査した結果「都内在住、40代独身の女性管理職」と導き出したと解説。雪国の価値(コンセプト)を分かってもらえる顧客(ターゲット顧客)に伝えるための品質管理の仕組みとして、旅館・ホテルの品質認証制度「サクラクオリティー」や旅館・飲食店・加工品部門で認定する「雪国A級グルメ」などに現在取り組んでいると述べた。

 パネルディスカッション「雪国を世界に発信するために必要なことは?」では、山崎氏をファシリテーターに泉田知事、小柳氏、高橋氏、西村氏、デルマス氏、井口氏らが登壇した。

 泉田知事は新潟県のインバウンドの現況を「14年度の新潟県の外国人宿泊数は前年比46.3%増の13万7206泊。内訳は台湾24%、豪州16%、中国12%、香港・韓国7%、米国6%、シンガポール・タイ3%、ロシア2%などでアジアが約60%だが、近年豪州からのスキー客が伸びている」と説明。さらに「今後は新潟と群馬、埼玉、東京を結ぶ“縦のゴールデンルート”づくりに取り組みたい」と意気込んだ。

 99年8月に「小田急外国人旅行センター」を新宿駅に開いた小柳氏は、「外国人向け案内所は、外国語ができるだけの人、地元に住んでいるだけの人では務まらない。案内する地域は自分自身が徒歩やバス、鉄道を使ってくまなく動き、熟知していなければならない」と助言。箱根でゲストハウスを営む高橋氏は「究極の観光資源は人。インバウンド客は、日本人とのふれあいを求めている」と強調。「小中高時代から外国人つきあうための教育をすべき」として、自身が地元の学校に出向いて実施している授業の内容などを紹介した。

 シンガポールの富裕層に北海道観光、ドライブ観光を提案し、ブームを起こした西村氏も「地方(田舎)の素朴な日本人との触れ合いがシンガポール人旅行者に最も評判がよい」と述べた。

 ミシュランのデルマス氏は、「旅行者が日本旅行で期待することはさまざまだが、英語表記、クレジット決済、両替の3点は、ぜひ整えてほしい。それが安心感につながる」と提言した。「ミシュラングリーンガイド」が独自に定める九つの評価基準も紹介。(1)旅行者がその観光地を訪れた時に受ける第一印象(2)その場所の知名度(3)文化財の豊かさ、レジャーの充実ぶり(4)ユネスコの世界遺産などの公的評価(5)芸術品や史跡の固有の美術的価値(6)美観(7)作り物ではない本物としての魅力と調和(8)旅行のしやすさと利便性(9)旅行者の受け入れの質—と明かした。

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