山形県新庄市で国連教育文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の「山・鉾・屋台行事」に登録されている「新庄まつり」(実行委員長、井上洋一郎・新庄信用金庫理事長)が8月24~26日、市内で開催された。
まつりは1756年、新庄藩五代目藩主・戸沢正諶(まさのぶ)が前年の大凶作に苦しむ領民を励まし、豊作を祈って始めたとされる。
28日の「宵まつり」では、夕暮れとともに山車(やたい)20台に照明がともされ、囃子(はやし)の音色に引き寄せられた国内外からの観光客ら約52万人が山車の通過を待ちわびた。
山車は歌舞伎の名場面や歴史絵巻を再現した豪華絢爛(けんらん)、勇壮なもので、太鼓、笛吹き、三味線の囃子方の編成に合わせ「チェレンコ、ヤッサー」と法被姿の若連衆が綱を引き、市内中心部を練り歩いた。
25日の「本まつり」では、先手(おさきて)と呼ばれる武士を先頭に、天狗姿の猿田彦、奴(やっこ)などの古式ゆかしい行列に参加する氏子総代、各小頭役の約250人が新庄城址公園を出発。「神輿渡御行列(みこしとぎょぎょうれつ)」が市内を巡行、観客を魅了した。
井上実行委員長は「令和の時代となり、訪日外国人旅行者からも理解が得られるよう、今年から祭りの説明に多言語化を図った」と語った。
有識者らで構成する選考委員の採点の結果、2019年度の最優秀賞山車に歌舞伎部門から「京鹿子娘道成寺(北町若連)」と「枕獅子(川西町若連)」、物語部門で「祝天皇即位・令和元年・寿七福神(大正町町若連)」が選ばれた。優秀賞に輝いた山車は新庄駅ゆめりあと歴史センターに1年間展示される。