日本政府観光局(JNTO)が4月24日に発表した今年3月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比26.3%増の85万7千人だった。中国、インドを除くと、東アジア、東南アジアの各市場が前年同月の数値に対して2桁の伸びを示すなど、3月の外客数としては過去最高を記録。急速な円高の緩和や東南アジアの旅行需要増加などがプラスに働いた。
3月の過去最高を記録したのは韓国(前年同月比37.4%増の20万7千人)、台湾(同60.0%増の14万7千人)、香港(同61.8%増の5万9千人)、タイ(同70.1%増の4万5千人)、豪州(同19.3%増の2万3千人)、マレーシア(同13.8%増の1万3千人)、インドネシア(同74.8%増の1万3千人)など。
韓国は、円安ウォン高に加え、ビジット・ジャパン(VJ)事業の宣伝効果などで若い世代を中心に訪日旅行需要が拡大。今年の「独立記念日」(3月1日)が金曜日で3連休になったこともプラス。ただ、前年同月は放射能への不安、円高で低調だったため、伸びは反動増と言える状態。
台湾は好調を持続している。LCC(格安航空会社)の利用が定着する中、円安の進展、観桜ツアーの人気が需要を刺激。香港は、イースター休暇と桜の開花時期が重なり、需要を喚起したと見られている。
経済成長が著しい東南アジアからの訪日旅行も引き続き拡大傾向。タイはインセンティブ旅行の催行が好調なほか、VJ事業によるメディア露出が奏功。インドネシアは3月として初めて1万人を突破した。
一方で中国は同21.5%減の10万2千人にとどまった。尖閣諸島の問題の影響が続き、訪日旅行需要が回復しなかった。
欧米は円安で訪日旅行の割高感が緩和された米国が同14.1%増の7万5千人、震災の影響が薄れてきた英国が同14.6%増の2万2千人など。
1000万人達成にまだ足りない 観光庁・井出長官
2013年1〜3月の累計は225万5千人で、前年の同じ期間に比べて18.0%の増加だった。ただ、政府が今年の目標に掲げている年間1千万人を達成するには、さらなる上積みが必要となっている。
観光庁の井手憲文長官は、4月25日の専門紙向けの会見で「1千万人を達成するには18%の増加では足りない。喜べる数字ではなく、もう少し高くジャンプしなければならない」と指摘した。
12年の年間値(暫定値)が836万8千人だったことから、1千万人を達成するには前年に対して約20%の伸びが求められている。