国土交通省は、訪日外国人旅行者数を2020年に2千万人にする数値目標を掲げた中長期ビジョンを策定する。目標達成に必要な具体的な取り組みについて、政府の観光立国推進戦略会議(座長=牛尾治朗・ウシオ電機会長)から提言を受けた上で、今年度内にまとめる。観光立国推進基本計画に掲げた2010年の外客目標1千万人の先を見据えた構想を示す。
外客数2千万人の目標数値は、首相官邸で20日に開かれた戦略会議で中長期の新たな目標として提示され、同会議のワーキンググループで具体的な施策などを検討することになった。
観光立国推進基本計画には、5つの基本的な目標として、10年、または11年を期限に定めた数値目標がある。しかし、観光政策などで有識者から意見を聞くために国交省が設置した「観光に関する懇談会」(座長=生田正治・商船三井相談役)では、観光庁の発足にあたって、さらに先の展望を示す中長期的なビジョンや数値目標の必要性が指摘されていた。
19日に東京都内で開かれた同懇談会の第4回会合の中で、国交省の本保芳明総合観光政策審議官は、中長期ビジョンの策定に向けて2020年に2千万人という数値目標を示し、「世界の観光需要の予測からすると、若干以上に背伸びを必要とする数字」と説明した。
“2千万人時代”について本保総観審は「本格的な国際観光立国の時代を迎えるイメージであり、内需中心から外需指向へのシフトが必要になる」として、旅行消費額に占める外国人の割合が大幅に増加する試算などを紹介した。2千万人に到達すると、国内の観光旅行消費額は外国人の割合が06年度の5.8%に対して13%に上昇し、現在の米国の14.3%並みとなる。宿泊客に占める外国人の割合も、現在の14人に1人から6人に1人に増える試算だ。
国交省は、中長期ビジョン策定のポイントとして、(1)2千万人の“インパクト”を可能な限り計量化、視覚化して示すことによる具体的な問題点の抽出(2)効率的、効果的な広報宣伝体制の構築(3)受け入れ態勢の戦略な整備──などを挙げている。