2010年、訪日外国人旅行者が政府目標の1千万人を達成した場合の生産波及効果は6兆円に迫り、約47万人の雇用効果が見込まれることが国際観光振興機構(JNTO)の調べで分かった。国別シェアでは韓国が27%を占め、もっとも多いが、伸び率では中国が断トツで、05年時点と比べ、2倍以上増えると試算している。
05年の確定値などをもとに算出。05年の訪日外国人旅行者は673万人で、旅行消費額は1兆7149億円だった。生産波及効果は4兆570億円(国内生産額の0.43%)で、付加価値効果は2兆1323億円(名目GDPの0.42%)、雇用効果は32万5千人(就業者の0.51%)となっている。
10年に目標の1千万人を達成した場合の旅行消費額は2兆4811億円となり、波及効果は5兆8448億円(同0.53%)、付加価値効果は3兆745億円(同0.54%)、雇用効果は46万7千人(同0.72%)と試算した。
05年と10年を比較すると、(1)生産波及効果は44.1%、付加価値効果は44.2%、雇用効果は43.5%上昇する(2)生産波及効果の伸び率は、外国人旅行者の伸び率(48.6%)よりも低い 結果となっている。
(2)についてJNTOは「欧米と比較して滞在期間が短く、消費額が低いアジア地域からの旅行者が増加すると推測されるため」と分析している。
過去のトレンドや今後の市場の成長性などをもとに、10年時点の国別シェアもはじき出した。それによると、もっともシェアが高くなるのは韓国で、27.4%(274万4千人)を占める。
注目されるのは中国。05年時点では9.7%(65万2820人)にすぎないが、10年では19.9%(199万人)までシェアを拡大する。台湾や米国を上回る旅行者が訪日すると見られており、潜在需要の大きさが改めて明らかになった。
香港を含めたアジアからの外国人旅行者は全体の7割弱を占めることになり、宿泊施設などにとってはアジアを視野に入れた受け入れ態勢の充実が現実的な対応といえそうだ。