国土交通省の1日付人事で、観光庁の長官に同省大臣官房長だった久保成人氏が就任した。井手憲文長官は退任。久保長官は2008年10月の観光庁発足以来、4人目の長官となった。外国人旅行者1千万人の達成や観光産業の強化などが当面の課題となり、政府を挙げた観光施策の推進に行政手腕が期待される。
久保長官は1977年に旧運輸省に入省。鉄道局長、大臣官房長などを歴任した。観光庁は7月の人事を合わせ、長官、次長、審議官、観光地域振興部長の幹部4人全員が新任となった。
退任した井手氏は国交省の要職を経て、2012年4月、民間から起用された溝畑宏氏に代わって長官に就任。在任は1年4カ月だった。関係省庁、国交省の他部局との間で調整力を発揮し、観光立国推進閣僚会議の「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」の策定に関わった。産業政策も重視し、観光産業の強化に施策の方向性を打ち出した。
久保長官の当面の課題は、中国を除いて好調に推移している外国人旅行者数の年間1千万人の達成。MICEの誘致、開催の強化策なども期待される。産業政策では、観光産業政策検討会が今年4月にまとめた提言の施策への具体化などが課題になりそうだ。
久保 成人氏(くぼ・しげと)京大法学部卒。1977年運輸省入り。2002年7月鉄道局幹線鉄道課長、03年7月大臣官房参事官(人事)、04年7月大臣官房人事課長、05年8月航空局監理部長、07年7月鉄道局次長、09年7月海上保安庁次長、10年8月鉄道局長、12年9月大臣官房長。大阪府出身。59歳。
久保新長官