観光庁の新年度予算案、宿泊施設の外客対応など支援


 観光庁の新年度予算案は、震災復興の観光関係予算を含めて245億4500万円となった。インバウンドの受け入れ環境の整備や観光産業の活性化などを推進する。

外客受け入れ整備 観光産業の活性化
 訪日外国人旅行者受け入れ環境整備緊急対策事業は、宿泊施設や2次交通のインバウンド対応への支援と、地方での消費を拡大するための環境整備への支援が柱。事業者などに対する補助制度を創設。予算額は80億円を計上した。

 宿泊施設の関係では、旅館を中心とする宿泊施設のインバウンド対応に補助金を交付。全国約千軒に補助金を交付する15年度補正予算に引き続いて、客室やトイレの洋式化、Wi‐Fi環境の整備、館内表示やウェブサイトの多言語化など、各宿泊施設の取り組みの半額を支援する。

 宿泊施設の生産性向上に対する支援も実施予定。ICT(情報通信技術)を活用した生産性向上を推進するため、業務へのタブレット端末の導入、厨房のICT化などを後押しする。

 外国人旅行者の急増に伴う宿泊需給の改善では、空き室情報の集約、提供に関する観光案内所などの取り組みを支援する。

 2次交通の関係では、空港、港、鉄道駅、バスターミナルなどのインバウンド対応を支援。デジタル案内板の設置、Wi‐Fi環境の整備、企画乗車券の開発、荷物配送による手ぶら観光の推進などを想定する。

 地方での消費拡大では、外国人旅行者が滞在、ショッピング、交流・体験プログラムなどを楽しめる環境を整備。観光案内所の機能向上、医療面の受け入れ態勢確立なども支援する。

 また、産学連携による旅館・ホテルの経営人材育成事業として3億2200万円。15年度からの継続事業だが、予算は2700万円から大幅に増えた。経営人材育成講座を大学などと連携して全国10カ所程度で開講。さらに戦略的で高度な内容の講座も別途開講する予定。

訪日プロモーション MICEの誘致促進
 訪日プロモーションは、日本政府観光局(JNTO)のビジット・ジャパン(VJ)事業に70億3700万円、国と地方の連携によるVJ事業に12億4500万円、東北地方の海外プロモーションには別途10億円を確保した。

 VJ事業では地方への誘客、訪日市場の多様化などを重視。LCC(格安航空会社)の地方就航を後押しし、誘客への広告展開を支援。アジアに加え、欧米からの誘客を拡大するため、日本の歴史や文化をテーマにしたPRに注力する。

 プロモーションの実施体制では、JNTOの海外事務所を現在の14カ所から21カ所に増やす。16年度中にマニラ(フィリピン)、ハノイ(ベトナム)、クアラルンプール(マレーシア)、ニューデリー(インド)、ローマ(イタリア)、マドリード(スペイン)、モスクワ(ロシア)に開設する。

 MICEの誘致促進には1億9900万円。プロモーションにはVJ事業の一部予算も充当する。認定したMICE強化都市(札幌、仙台、千葉、広島、北九州)を支援するほか、国内のコンベンションビューローの高度化策を検討する。

地方創生のための 観光地域づくり
 広域観光周遊ルート形成促進事業に16億4千万円を計上した。インバウンドの地方誘客に向けて地域づくりや情報発信を支援し、マーケティングなどの専門家を各地に派遣する。

 観光圏を対象にした観光地域ブランド確立支援事業には2億5100万円。その他の地域に対しては、地域資源を活用した観光地魅力創造事業として3億3800万円を確保し、地域づくりを支援する。DMO(観光地域マネジメント・マーケティング組織)を担う人材も育成していく。

 東北のインバウンド推進には32億6500万円。国のプロモーションとは別枠で、地域が発案した誘客事業に補助金を交付する。福島県については国内旅行、教育旅行の復興に別途2億6600万円を付けた。

 
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