観光庁は来年度、独立行政法人・国際観光振興機構(=JNTO、日本政府観光局)に、同庁が実施するビジット・ジャパン事業を原則として委託しない方針で調整を進めている。政府の行政刷新会議による事業仕分けで「民間に委ねるべきものは民間に委ねる」とされた結果に沿う方向性で、来年度の予算編成を検討中だ。JNTOが運営している外国人旅行者向けの観光案内所(TIC、東京・有楽町)の民間委託も検討している。
ビジット・ジャパン事業では、JNTOが旅行会社の招請事業やツアー造成・販売支援事業などの一部を受託している。2009年度の受託額は約5億7千万円。近年では年間4億円程度を受託してきたが、今年4月の事業仕分けでは、独法であるJNTOが競争入札で事業を受注することなどが疑問視され、検討を求められた。
TICの運営についても事業仕分けでの結論は、JNTOによる直営の廃止だった。観光庁では、競争入札などを行い、来年度中に民間に運営委託することを検討している。
また、JNTOの北京とバンコクの海外事務所を独立行政法人・国際交流基金の各事務所と併設させる方針。政府の新成長戦略などが海外出先機関のワンストップの窓口化を掲げていることから、来年度に試行的に実施する。
観光庁では、海外事務所を持つJNTOの役割を同庁が企画立案した政策の“実行部隊”と改めて明確化し、ビジット・ジャパン事業については民間企業が受注して実施する事業の現地での監督機能などを期待する。
溝畑宏長官は、10月27日の定例会見で「JNTOの事業縮小ではなく、機能の見直しだ。訪日外国人3千万人の誘致に向けてJNTOの役割は重要。海外での情報収集や広報宣伝の機能をさらに強化したい」と述べた。