観光庁、旅館・ホテルの生産性向上へ全国で講座開催


 観光庁は、内閣府の補正予算を活用し、旅館・ホテルの生産性向上を促す事業を実施する。近く参加施設を募集して全国20カ所で実践型の講座、ワークショップを開催するほか、日本旅館協会が選定した旅館・ホテル8軒をモデルに経営改善を後押しするコンサルティング事業を実施。両事業を通じて生産性向上に関する実態に即した課題、好事例を抽出し、冊子やウェブサイトを作成して広く普及する考えだ。

 旅館・ホテルをはじめとするサービス産業の生産性向上は、日本経済の成長戦略を推進する政府が重要課題に挙げている。昨年6月に官邸で開かれた会合には、日本旅館協会の針谷了会長をはじめサービス産業5分野の代表が招かれ、安倍晋三首相自らが取り組みの強化を要請した。これを受けて2015年度補正予算で内閣府に関係事業費が計上された。

 ワークショップの事業は、コンサルタントなどの指導のもとで講座を開講。20カ所の各地域で1泊2日の講座を3回開催する。講義を聴くだけでなく、参加者による課題の共有や解決の場にする。間隔を空けて3回開催することで、講義で得た知識を施設で実践し、成果や課題を再度検討できるようにする。

 観光庁は、参加を希望する施設の公募を近く始めるが、1地域の参加者は12施設程度を予定している。施設の選定を経て6月下旬から順次ワークショップをスタートさせる。

 モデル事業は、日本旅館協会が、昨年10月に旅館ホテル生産性向上協議会を立ち上げるなどして着手していた枠組みを活用。旅館・ホテルの業態、客室数の規模、地域の分布を考慮して同協会が公募で選んだ8軒でコンサルティング事業を実施する。公益財団法人の日本生産性本部の専門家らが複数回にわたって各施設を訪れ、経営診断、経営改善の指導を行う。

 モデルに選ばれた施設は、旅館の小規模(30室未満)が綿善旅館(京都市)とみやこ旅館(長野県上田市)、中規模(30〜99室)がグランメール山海荘(青森県鯵ケ沢町)とあぶらや燈千(長野県山ノ内町)、大規模(100室以上)が観月苑(北海道音更町)と小豆島国際ホテル(香川県土庄町)。ビジネスホテルが芝大門ホテル(東京都港区)とホテル松風(愛知県豊田市)。

 観光庁では、ワークショップ、モデル施設のコンサルティングの両事業で抽出した課題、得られた成果を事例集として冊子やウェブサイト上の特集にまとめ、全国の旅館・ホテルに紹介する。イラストや動画なども駆使して活用しやすい内容にし、事業者の生産性向上に関する意識改革、現場での実践を促していく。

 
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