観光庁の「訪日外国人旅行者数のさらなる拡大に対応した宿泊施設のあり方に関する検討会」は、19日にまとめた提言の中で、外客2千万人、3千万人の目標達成に向けた宿泊施設の環境整備として、事業者をはじめ、国、地方自治体、業界団体などが取り組むべき課題を整理した。宿泊予約と料金決済を連動させたシステムの整備、日本文化を体感できる場としての旅館の情報発信の充実などを挙げた。
検討会の提言では、あらゆる関係者が役割分担のもと、それぞれの課題の解決に向けて取り組むよう求めている。国に対しても、支援施策などを検討するよう促している。
予約システムの整備では、「現状ではネット上での予約ができない宿泊施設が少なくなく、各種ポータルサイトなどでも掲載情報や掲載方法がまちまち」で、外国人旅行者の円滑な情報収集が難しいなどと課題を指摘した。
予約環境の改善に向けて、予約サイトの構築やノー・ショー(不泊)対策の予約保証(ギャランティ・リザベーション)の導入を個々の宿泊施設に求めたほか、国や宿泊業団体には、予約と決済を連動させたシステムの整備について検討するよう提言した。
このほか主な提言内容を次の通り。
【情報提供の充実及び予約の容易化】(1)ホームページの多言語化=英語はもとより、中国語、韓国語などへの対応(2)予約システムの整備=予約と決済を連動させたシステムの検討(3)口コミサイトにおける情報収集=施設・サービスの改善に外国人旅行者のコメントを参考にするための情報収集
【我が国ならではの宿泊施設「旅館」の情報発信】動画やアニメを活用した旅館の利用方法の情報発信
【円滑なコミュニケーションの実現】外国語接遇の向上に向けた従業員教育の強化、外国人研修生や留学生などの活用方策の検討
【案内表示の多言語化】宿泊事業者がインターネット上からダウンロードできるよう多言語化表示の情報を提供
【快適な滞在を実現する客室の整備】スーツケースの収納スペースの確保、日本的な要素を盛り込んだ室内装飾や備品などの整備
【温泉文化の発信と快適な入浴サービスの提供】動画やアニメを活用した共同浴場の入浴ルールや温泉文化の情報発信
【食事提供方法の柔軟化】メニューなどのノウハウの共有化やネット上からの情報提供
【情報・通信・金融環境の整備】外国語放送、外貨両替などのサービス提供に向けた環境整備
【料金体系の明確化】泊食分離などの多様なニーズに対応した料金体系の導入とわかりやすい情報提供
【宿泊施設・周辺地域におけるアクティビティの充実】日本文化に触れるサービスやアクティビティのメニューの地域での開発