観光庁は、中国人旅行者の受け入れ環境を向上させるため、宿泊施設に中国語テレビ放送サービスを導入する実証事業をスタートさせた。旅館・ホテル50〜80軒を対象に視聴料金を一定期間支援。中国人宿泊客と宿泊施設にアンケート調査を実施し、視聴ニーズや誘客効果を検証する。実証結果を踏まえ、宿泊施設のサービス導入を促進したい考えだ。
宿泊施設での中国語テレビ放送サービスは、シティホテルなどで導入が進みつつあるが、全国的な導入率は低い。観光庁観光産業課では「国際観光ホテル整備法の登録施設でも、導入率は数%という水準とみられる」と指摘。中国人客の増加が見込まれる中、受け入れ態勢整備の課題の1つとなっている。
実証事業では、中国人宿泊客を受け入れている旅館・ホテルを対象に、今年12月から来年2月までの3カ月間、視聴料金を支援する。支援対象となるチャンネルは、中国のニュース番組などがみられる24時間放送のCCTV大富とチャンネル中国。
宿泊施設1軒当たりの支援額の上限は12万円。CS放送受信設備などの初期費用が必要な場合は、宿泊施設側の負担となる。実証期間の終了後の契約延長は自由となっている。
旅館・ホテル団体を通じて参加施設の募集を開始。今月末までの応募の中から支援施設を決める。新規に放送サービスを導入する施設を優先的に支援するが、すでに導入している施設も対象とする。
アンケート調査では、調査票を通じて中国人宿泊客の視聴の状況や満足度を把握するほか、宿泊施設にも誘客効果やサービスの継続意向などを聞く予定。今年度末までに回答結果を集計し、宿泊施設に中国語テレビ放送のサービス導入を促す資料として活用していく。