観光庁はこのほど、「テーマ別観光による地方誘客事業」の支援先として7件を決定した。エコツーリズム、街道観光、酒蔵ツーリズムなど共通するテーマで取り組む複数の地域のネットワーク化を促し、課題や成功事例の共有を通じて各地方への誘客を後押しする。
今年度に新規に盛り込まれた事業で、公募に対しては54件の応募があり、審査を経て7件を決定した。地域連携協議会の設立、パンフレットやウェブサイトの作成、周遊プランの造成、プロモーションなどの費用を観光庁が支援する。各テーマへの支援額は上限1千万円。
支援が決定した案件は次の通り(テーマ、設立予定の協議会名〈代表団体〉、事業内容)。
【エコツーリズム】エコツーリズム地域推進協議会(日本エコツーリズム協会)=北海道や群馬などエコツーリズムを進める地域をネットワーク化し、着地型旅行商品の販売方法や地域内の連携方法を情報共有するため、インバウンド向けの調査や商談会、コンテンツの作成などを行う。
【街道観光】街道観光推進会議・日本歴史街道ネットワーク(全国街道交流会議)=全国の街道地域をネットワーク化し、街道に関係する城下町や宿場町などの歴史的風土を生かした「街道観光」をテーマに、共同でのプロモーションやモニターツアーを実施する。
【近代建築ツーリズム】近代建築ツーリズムネットワーク(青森県弘前市)=国立西洋美術館を含むル・コルビュジエの建築群が世界文化遺産登録され、近代建築の文化的価値に対する関心が高まっていることを踏まえ、まず今年度は同氏の弟子であった前川國男氏の建築にゆかりのある全国各地をネットワーク化する。前川氏の作品を巡るモニターツアーの開催やシンポジウム、PRツールの作成などを行う。
【酒蔵ツーリズム】酒蔵ツーリズム推進協議会(アサツーディ・ケイ)=全国各地の酒蔵を新たにネットワーク化し、共同プロモーションに向けた基礎調査やモニターツアーなどを実施する。
【社寺観光 巡礼の旅】社寺観光地域連携協議会(全日本社寺観光連盟)=全国に点在する社寺を巡礼の地としてつなげる「社寺観光」を推進するため、今年度は徳川家康公没後400周年にゆかりの深い社寺(静岡、愛知、埼玉、栃木、宮城)をネットワーク化し、インバウンド向けのモニターツアーや多言語サイトの構築などを行う。
【明治日本の産業革命遺産】明治日本の産業革命遺産世界遺産ルート推進協議会(産業遺産国民会議)=世界遺産「明治日本の産業革命遺産」(8県11市)をネットワーク化し、多言語ガイドマップやホームページ製作などを通じ、各地域に訪問者が周遊する仕組みを構築する。
【ロケツーリズム】ロケツーリズム協議会(地域活性プランニング)=ロケツーリズムに取り組む全国各地をネットワーク化し、どの地域でも実践できるロケ誘致から観光客向け情報発信に至るノウハウのマニュアル化、モデル地域でのロケ地マップの制作、ロケ地ツアーの商品化などを行う。