泉質の良さで知られる群馬県の草津温泉だが、その温泉水からレアメタル(希少金属)であるスカンジウムが回収されたことが分かった。スカンジウムはほぼ全量を輸入に頼っているが、この回収成功により、実用化されれば、草津温泉がレアメタル産地として注目を浴びそうだ。
経済産業省の支援を受け回収作業を続けていた日本原子力研究開発機構や日本カーリット、群馬県産業支援機構などの共同研究チームが成功を収めた。
強い酸性が特徴の草津温泉の温泉水には1トン当たり約17ミリグラムのスカンジウムが溶け込んでいる。チームは高温や強酸の温泉水に耐える「金属捕集布」を作り、温泉水が流れ込む湯川に設置。その結果、「温泉水から連続的に95%以上の回収率でスカンジウムの捕集可能なことを実証した」(同研究開発機構)。
この装置を1千倍の大きさにすることで、年間約200キロのスカンジウムを獲得することができるという。
スカンジウムはメタルハライドランプなど照明の材料として需要が伸びており、最近では燃料電池にも使われ、利用範囲が広がっている。