経団連は17日、「新たな成長を実現する大規模MICE施設開発に向けて」と題した提言をまとめ、政府などに提出した。日本国内のMICE施設は、大規模化が進む国際的なトレンドに対して「見劣りする状況」にあると指摘。世界最大級の国際会議や国際見本市を誘致、開催できる大規模施設の整備に早期に着手するよう求めた。
大規模施設の基準では、展示場を中国・広州の琶州展示場並みの30万平方メートル、会議施設を韓国・ソウルのCOEX国際会議場並みの5万平方メートルなどと目安を示した。周辺にホテルや飲食施設、エンターテイメント施設などの「魅力付け施設」を一体的に整備することも要件にした。
施設の規模などに関しては、経団連の観光委員会(委員長・大塚陸毅JR東日本相談役、共同委員長・山口範雄味の素会長)が、MICE施設の開発について検討していた日本プロジェクト産業協議会の研究成果などを基に提示した。
施設の開発、運営にあたっては、官民の役割分担、連携を重視。高い収益性を持つ魅力付け施設と一体で開発、運営できるような計画の策定を求めた。「収益と政策効果の最大化に向けて最適な手法を柔軟に選択できるよう、法整備や予算・税制措置、都市計画の見直しなど最大限の環境整備を行うべき」と訴えている。
また、魅力付け施設の一つに想定されるカジノに関しては、MICE施設との一体的な整備が国際的な潮流になっていることを踏まえ、経済性、倫理性の観点から議論を深め、早期に結論を出すように期待した。