第3種旅行業者が一定の条件下で募集型企画旅行を実施できるよう、旅行業法の施行規則が改正され、5月12日施行された。地域特性を生かした旅行商品を創出、流通を促進し、地域観光を活性化させる狙いがある。既存の第3種旅行業者だけでなく、地域の観光資源を熟知した地元の観光協会、NPO法人、宿泊施設などが、第3種に登録し、この新制度を活用することが期待される。
募集型企画旅行が実施できるよう第3種旅行業の業務範囲を拡大したが、基準資産や営業保証金の額、登録要件は現行のまま。基準資産は300万円、営業保証金は年間取引額が2億円未満ならば300万円。第1種、第2種に比べて登録しやすいため、旅行会社以外の登録も見込まれる。ただし、募集型企画旅行を実施するには、一定の条件が付く。旅行の実施区域の限定と、旅行代金の支払い時期の制限だ。
第3種が実施できる募集型企画旅行の区域は出発地、目的地、宿泊地、帰着地が、自らの営業所が所在する市町村とそれに隣接する市町村の範囲内に収まっている必要がある。この範囲は都道府県をまたぐこともできる。離島を含む区域については定期旅客船の航路などに基づき特定のルールを設けている。
旅行代金については、申込金(代金の20%以内)を除き旅行開始日以降の支払いとなり、開始日より前に受け取ることはできないことにした。
また、この制度改正に伴い、旅行業法施行要領、標準旅行業約款、企画旅行に関する広告の表示基準等の関連項目を改正した。第3種が募集型企画旅行を実施する場合、広告や取引条件説明書面には、実施区域や旅行代金の条件に関する表示基準を新たに設けた。
制度改正により、地域の新たな観光需要の創出、観光を通じた地域の活性化が期待される。国土交通省観光事業課では「地域独自の魅力を生かした旅行商品、多様な旅行目的に対応したきめ細やかで高付加価値な旅行商品の提供が求められている中、地域の観光魅力を熟知した地元観光関係者の主体的な取り組みは不可欠。地元の観光事業者にとっては、1つのビジネスチャンスと言える」と新制度の活用を求めている。