観光経済新聞社は21日までに、主催する第30回「にっぽんの温泉100選」(観光庁と観光関連8団体後援=予定含む、トラベルジャーナル社協賛)の中間集計をまとめた。それによると、草津温泉(群馬県)がトップの座を確保、14年連続1位に王手をかけた。以下、別府八湯(大分県)、有馬温泉(兵庫県)、由布院温泉(大分県)、指宿温泉(鹿児島県)と続く。投票は10月末で締め切られ、最終順位は12月初旬に開かれる予定の100選実行委員会の審査で決まる。
にっぽんの温泉100選が始まり、今回で30回目となる。節目の年はどんな順位となるのか、旅行業者の関心も大きい。
大手、中堅旅行業者やネットエージェントなどからの投票は7月から始まり、中間発表は事務局(本社)に届いた8601枚の投票はがきを集計した。投票締め切りまで残り約1カ月、今後の動向が注目される。
草津は前回の中間集計時でも1位となり、その勢いのまま第29回のトップの座を射止めた。シンボルの「湯畑」を中心に町一体となった観光地づくりに取り組んでおり、13年に「御座之湯」、14年に「湯路広場」、そして昨年に「熱の湯」を相次いでオープン。さらに夜間のライトアップ設備を新調する計画もある。こうした取り組みを旅行業者は高く評価、「送客しやすい」として万遍なく票を集めた。
2位となった別府八湯は2ランクアップ。別府温泉、鉄輪温泉など八つの温泉郷で成り、“おんせん県”を掲げる大分県の看板温泉だ。温泉泊覧会(オンパク)やスタンプラリー「別府八湯温泉道」などを通じて温泉の新たな楽しみ方を提案。温泉道は88湯を巡りパスポートと呼ばれるスタンプ帳にスタンプを集めることで、「名人」に認定される。
有馬温泉は5位から3位とランクを挙げた。道後、白浜温泉とともに「日本三古湯」と呼ばれるほど歴史が古く、「関西の奥座敷」としても親しまれている。有馬大茶会や3世代で楽しめるニジマスつかみどりなどイベントも多彩。また、炭酸煎餅など歴史を感じさせる味覚も人気だ。
北海道新幹線の開業効果が期待された北海道の温泉地だが、登別温泉が8位に食い込み存在感を示したほかは前回と同じような順位にとどまっており、思いのほか効果が現れなかった。
中間段階で新たに100選にランクインしたのは11温泉地。みなかみ18湯(群馬県)はこれまで「水上」として表記、ランク付けしたが、今回から名称を変更。18湯として票を集めた結果、52位となった。
61位の人吉温泉(熊本県)は人吉市を流れる球磨川にのぞむ温泉で、市街地の中心部にある。熊本地震の影響で観光客の減少が心配されたが、温泉街の努力や旅行会社の支援もあってか、大きく票を伸ばした。
84位の上諏訪温泉(長野県)はJR上諏訪駅から歩いて5〜10分とアクセスが良く、湧出量も1日1万5千キロリットルと豊富。新宿から特急列車に乗れば2時間半弱で行け、諏訪湖・諏訪大社、霧ヶ峰高原などの名所がある。
第27回から観光庁が後援している。観光関連8団体は日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本観光振興協会、日本政府観光局、日本温泉協会、公益財団法人日本交通公社。