観光バスの乗降口や後部に「環境性能AA」などといったラベルを張るバスが東京都内で登場している。大気汚染の改善に取り組んでいる姿勢をアピールできるとあって導入する事業者も徐々に増えつつある。パンフレットにも同様のラベルを記載し、環境問題に厳しい目を向ける消費者がバス旅行をする際に選んでもらうようにしている。「認知度はまだまだ」 (関係者) だが、環境問題に対する関心が高まりを見せる中、導入企業も増えそうだ。
東京都は昨年、観光バスの環境性能表示 (環境ラベリング) に取り組むことを表明。同年6月には東京バス協会、JATA関東支部、ANTA東京都支部など関係業界団体と合意し、実施に踏み切った。都は「わが国初の試み。国内のバスツアーに参加する人が環境に優しいバスを利用した旅行を選ぶことで、都内や沿道、観光地などの大気汚染改善に役立つ」 (自動車公害対策部) と見ている。
環境性能の評価は、自動車検査証に基づく排ガス規制値により行う。都がガイドラインを作り、ガイドラインに基づく評価手続きやラベルの交付は東京バス協会が実施する。環境性能はもっとも優れたレベルであるAAから、A、B、Cの4段階で表示。昨年9月に第1回交付式が行われ、はとバス、東都観光バス、東京空港交通の3事業者にラベルが送られた。
はとバスは現在、132両のバスにラベルを張っている。ランク別車両数はAAが18両、A60両、B38両、C16両。「お客さまの反応は顕著とは言えないが、大手代理店 (都内私立高校) から2〜3件の問い合わせがあった」と広報課。
パンフレットにも活用する。ツアーに使用するバスのランクを示し「排ガスのきれいなバスを利用したツアー」をうたう。セールス時にも積極的にPRし、環境保全重視の姿勢をアピールする。
東京バス協会によると、現在50社を超える事業者から申し込みがある。しかし、会員数約400社からするとその数はまだ少ない。業界、一般消費双方に向けた情報発信が普及のかぎを握っているといえそうだ。
環境性能が一目でわかる