東京都と東北4県が被災地支援イベント


小池、達増両知事らが参加したオープニングセレモニー(2月16日、東京国際フォーラム)

スポーツの力で復興

 東日本大震災の被災地を支援するイベント「復興応援・復興フォーラム」が2月16日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開かれた。「復興五輪」と位置付けられた東京オリンピック・パラリンピックの開催を間近に控え、「復興の未来を切り拓く、スポーツの力」をテーマに、東北4県のスポーツによる復興と活性化の取り組みを紹介。主催者の東京都から小池百合子知事、東北4県を代表して岩手県の達増拓也知事が五輪の成功と被災地の完全復興を期すあいさつを述べた。

 小池、達増両知事らが参加したオープニングセレモニー(2月16日、東京国際フォーラム)

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 青森県は青森山田高校男子新体操部監督の荒川栄さんが男子新体操の競技人口拡大と地元で結成されたプロのダンスチームによる地域経済活性化の取り組み述べた。

 男子新体操は全国で競技人口が千人と少なく、競技の存続に荒川さんら関係者が危機感を抱いていた。そのため強豪校の同高校と青森大学のOBを中心に、プロのダンスチーム「BLUE TOKYO」を結成。国内外のさまざまな舞台で公演し、メディアにも登場するなど人気を集めるようになった。

 将来のダンスチーム入りを目指す子ども向けのキッズ組織も立ち上げ、高校、大学を含めたプロを頂点とする競技人口のピラミッドが形成、競技存続の危機を脱した。公演での集客や県産品とのコラボグッズの販売など、BLUE TOKYOの活動は地元経済の活性化にも大きく貢献している。

 岩手県はラグビーチーム「釜石シーウェイブスRFC」ゼネラルマネージャーの桜庭吉彦さんがラグビーワールドカップ(W杯)誘致までの苦労と、その実現でさまざまなレガシーを得られた実績を述べた。

 日本でのW杯開催が決まった2年後に震災が発生。ラグビーが盛んだった釜石市の有志が、「W杯どころではない」との声もある中で地元開催を提案。2015年に国内12開催都市の一つに決定した。新しいスタジアムや道路などインフラが急ピッチで整備されたほか、「さまざまな国の人との交流が、市民の心を明るくした」と桜庭さん。

 宮城県はプロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」スタジアムDJの千葉正人さんと、元選手で現在は子どもたちに野球を教えるアカデミーコーチの聖澤諒さんが震災以降のさまざまな被災地支援活動を紹介した。

 震災当日、兵庫県に遠征していたイーグルスは4月8日に地元仙台に戻り、即席のサイン会や撮影会など被災地での支援活動を精力的に実施。2年後の2013年に初のリーグ優勝と日本一を果たした。優勝パレードは沿道に21万4千人が駆け付け選手らに声援。「おめでとうではなく、ありがとうという声援が耳に残った」と聖澤さんらは当時を振り返った。イーグルスは震災翌年から東北6県の新小学1年生全員に帽子を贈るなどさまざまな地域密着活動を行っている。

 福島県はサッカーチーム「福島ユナイテッドFC」社長の鈴木勇人さんが県産品の生産やPRなど風評被害の払しょくに取り組む選手の活動を紹介した。

 原発事故による風評被害に悩む同県の農業を支援しようと、チーム内に「農業部」を結成。県内の農家や農園とタイアップし、りんごや桃、米などさまざまな農産物の生産に選手自らが取り組んでいる。「選手が作った農産物」とPRすることで商品価値が高まり、店頭やネットで好調な売れ行きを示している。サッカーの試合会場でも「マルシェ」を開催し、農家や農園から仕入れた農産物を販売、PRしている。

岩手県「釜石シーウェイブスRFC」の事例発表

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 オープニングセレモニーには小池、達増両知事と田中和徳復興大臣が参加。「被災地の復興なくして東京2020の成功はない」(小池知事)、「聖火リレーと競技が東北で行われる。五輪・パラリンピックを復興への力としたい」(達増知事)とそれぞれ述べた。

 セレモニーにはスペシャルゲストとして元ラグビー日本代表の大畑大介さんと、仙台市出身で車いすラグビー選手の庄子健さんも参加。昨年のラグビーW杯を振り返るとともに、五輪・パラリンピックの成功と被災地の復興へ、被災4県の関係者らにエールを送った。

 会場には4県の名産品販売や郷土玩具の製作体験コーナーを設置。

 宮城県のコーナーでは、2018年にデビューした新しいブランド米「だて正夢」をPRした。県産米を宣伝する「2019みやぎライシーレディ」の八巻楓香さんは「甘みが強く、もちもちとした食感が特徴です」と新しいブランド米をアピール。宮城県農政部みやぎ米推進課生産販売班の田村亘技術主査は「県内の旅館も朝食などで使っていただければ」と話した。

「2019みやぎライシーレディ」の八巻さん

 
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