帝国データバンクはこのほど、最低賃金改定に関する企業の意識調査を行った。10月の最低賃金改定を受けて給与体系を「見直した(検討している)」企業は35.0%と、およそ3社に1社だった。9の業界別では、小売が48.9%と最高。サービスは31.7%と5位だった。最低賃金引き上げの自社への影響については「影響がない」が57.9%と半数以上を占めた。
自社の給与体系について見直しの有無を尋ねたところ、「見直していない(検討していない)」が最も多く、49.1%と約半数が回答した。「見直した(検討している)」は35.0%とおよそ3社に1社。「分からない」が15.9%だった。
9の業界別では、小売の48.9%が最高。以下、運輸・倉庫の43.4%、製造の41.0%、農・林・水産の37.3%、サービスの31.7%が続く。
給与体系を見直した理由は「人材確保のほか、働きやすい職場環境づくりや中途離脱者防止のため」「非正規社員不足による人材補充への応募対応、および政府の最低賃金引き上げへの対処」などが挙がっている。
最低賃金引き上げが自社の業績にどのような影響を与えるかを聞いたところ、「影響はない」が57.9%と半数以上を占めた。一方、「マイナスの影響がある」が21.7%と、2割超の企業が答えた。「分からない」が18.7%、「プラスの影響がある」が1.7%。
最低賃金の引き上げ額が、妥当かどうかの問いでは、「妥当」が40.5%と最も多かった。「分からない」が29.9%、「低い」が18.1%、「高い」が11.8%。人件費の増加要因になる改定にもかかわらず、引き上げ額が受け入れられている様子がうかがえる。
従業員を実際に採用する時の最も低い時給は、回答者の全体平均が約958円。改定後の最低賃金の全体平均823円を135円上回った。
都道府県別で比較すると、改定された最低賃金と採用時の平均時給の差額が最大だったのは東京都で、差額はプラス165円(採用時最低時給約1097円、最低賃金932円)。以下、島根県、沖縄県、鹿児島県、福岡県が続き、西日本を中心に差額が大きくなっている。