日本観光協会(740会員)は10日、東京プリンスホテルで開いた通常総会で、新会長に東芝会長で日本経団連副会長の西田厚聡氏(66)を選んだ。中村徹会長(74)は退任した。民間出身の会長就任は初めて。このほか、伊東信一郎・定期航空協会会長(ANA社長)が副会長に就任した。来年の総会は6月9日、同ホテルで開く予定だ。
総会には約200人が出席。来賓として溝畑宏観光庁長官、水野靖久総務省地域振興室長が出席し、あいさつした。
議長に指名された中村会長は冒頭、第3号議案(役員選任)からの審議を提案。「02年総会で会長に就任し、4期8年に渡って会長を務めてきたが、今回、役員再任を辞退したい」と切り出し、会長退任を表明。また、丹羽晟・日本航空ビルデング顧問も辞退した。
西田新会長は「(協会は)日本の観光振興にかかわる中心的な民間団体として重要な役割を果たしている。観光は財政出動が少なく、効率的に日本の成長をけん引する原動力になる」との認識を示すとともに、「国と地方、行政と民間の橋渡しをしながら、観光を経済成長の柱にするべく重責を果たしたい」と抱負を述べた。
今年度は(1)観光地域づくりと人材の育成(2)観光需要の喚起(3)外国人訪日旅行の促進と双方向交流の推進──を重点事項に掲げ、台湾向けプロモーションサイト運営による地域向けインバウンドの支援や、ニューツーリズムの活用促進および人材育成のためのセミナー開催、顕彰事業の見直し、地域観光協会と連携した人づくりや着型旅行商品の造成支援などに取り組む計画だ。
総会後の情報交換会には前原誠司国土交通相が出席。前原国交相は、「(日観協は)天下り法人の側面は否めない事実だ。新会長のもと、民間法人の役割を果たしてほしい」と強い調子で述べた。旧運輸省出身の中村前会長を前にしての発言に「前原さんらしいが、もう少し配慮があってもいいのでは」という声もあった。
西田、伊東両氏以外の新役員は次の通り。
理事=上田成之助・京阪電気鉄道社長▽大社充・NPO法人グローバルキャンパス理事長▽大西賢・日本航空社長▽小川矩良・日本ホテル協会会長▽川勝平太・静岡県観光協会会長▽里見雅行・JR東日本取締役総務部長▽中西陽典・国際観光振興機構理事▽林文子・横浜市長▽水村祐一・トップツアー常務執行役員▽山崎潤一・東海汽船社長
監事=谷口克己・日本旅客船協会理事長
中村前会長(左)と握手する、新会長に就いた西田氏