国土交通省の日本風景街道戦略会議(委員長・奥田碩日本経団連名誉会長)はこのほど提言をまとめた。「道(道路)」を中心とした、質の高い風景の形成を通じて、地域活性化や観光振興につながる地域主体の活動を促進することを提唱。関係機関に支援態勢の整備を求めた。地域が取り組む「風景街道」のルートをブランド化するため、第三者機関による「1つ星」「2つ星」といったイメージの評価制度をおおむね3年後をめどに構築することを提案した。
風景街道は、地域住民やNPO、企業、行政などが、自然、歴史、文化、施設などの地域資源を生かし、「美しく質の高い風景」を形成する運動。目的は(1)道を舞台とした双方向コミュニケーションによる多様な主体の協働の取り組み(2)周辺地域と道路が一体となった美しい国土景観の形成(3)地域活性化への寄与(4)観光振興への寄与──を掲げている。
風景街道の質を向上させ、活用、発信していく枠組みとして、評価制度を伴うブランド化を提言した。地方ブロックごとに、地方公共団体や地方整備局などで構成する風景街道協議会を設置、各地域からルートの登録申請を受け、協議会は活動を支援する。地方ブロックの協議会から推薦されたルートは民間の第三者機関が全国基準の評価づけを行う。
評価基準には、(1)国内外の訪問者に感動を与える地域資源を持つこと(2)景観の向上にかかわる取り組みを実施し、優れた景観を創出していること(3)質の高いサービスを提供していること──などを想定している。
事業展開としては、今年度中にも登録の受け付けを開始。2年後には評価制度の試行に入り、3年後には本格運用を目指すことにする。制度化を検討するために、すでに公募済みの全国72ルートについては、再申請を求めた上で登録を判断する方針だ。
日本風景街道は、米国の「シーニックバイウェイ」にヒントを得て検討が始まったもの。05年12月以降、有識者でつくる戦略会議を3回、ワーキンググループを5回開催し、理念や制度化を議論してきた。