国家検定試験「ホテル・マネジメント技能検定試験」を運営する日本宿泊産業マネジメント技能協会(JLM、作古貞義理事長)は21日、第4回無料オンライン・マネジメント講座「ホテルにおける環境問題への対応」を実施した。川村学園女子大学生活総合学部観光文化学科の丹治朋子教授が講師を務めた。
丹治教授は講座の中で、食べ残し、売れ残り、返品、規格外品など本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことを指す「食品ロス」について言及。「2018年度の日本の食品ロスは約600万トンで、内訳はホテル・旅館を含む事業系が約324万トン、家庭系が約276万トン。国民1人当たりの食品ロス量は1日約130グラムでこれは茶碗1杯分のご飯に相当する。年間だと約47キロで、年間1人当たりの米消費量約54キロに近い量」と解説し、食品廃棄物対応の重要性を強調した。
具体的には、Reduce(削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再循環)の「三つのR」が基本となると述べた。削減策としては、(1)残食調査(2)在庫管理・使用食材の見直し(3)残食削減の(顧客への)協力依頼―を挙げた。一方で「結婚披露宴では残食が半分に及ぶこともあるが、祝宴などでの残食削減依頼は難しい部分もある」と述べ、環境対応とビジネスのバランス問題を指摘した。
丹治教授はまとめで、「ホスピタリティ産業は環境あってこその商売で、特にリゾートなどはそうだ。日本のラグジュアリー客層は、いまだにぜいたくを求める顧客比率が高いが、欧米先進国のラグジュアリー客層は、『エコリゾート』で喜んで不便さを享受するようになってきている。宿泊施設が利用客に対してどのように啓発活動を行っていくかが、今後重要になってくる」と語った。