旅行大手2社が相次いで自社ホームページ(HP)をリニューアルした。JTBは売れ筋の国内宿泊を前面に出し、KNTは予約までの動線を明確化。それぞれ、利用者にとって使いやすいサイトにすることで、顧客の取り込みを図るのが狙いだ。
KNTは4月10日、サイトのリニューアルを完了した。従来はマウスの位置で画像が切り替わるトランプめくりのようなデザインを採用していたが、「アニメーションの利用でページ全体を開くのに時間がかかる上、欲しい情報に行き着くのに手間がかかった」(同社eビジネス事業本部カンパニー、金成哲夫課長)。
リニューアルにより、トップページの最上段に特集ページの入口を設置し、今売りたいものを明確に打ち出せるデザインにした。その下には、「国内旅館・ホテル予約」「国内」「海外」のボタンを配置。「利用者が見たい内容にすぐにたどり着けるデザイン」(金成課長)を目指した。また日程や行き先を選ぶと旅行商品を探せる検索窓も置き、トップページから直接商品の検索内容に行けるようにした。
このほか地方発着商品の専用ページを充実し、各地の担当者が地域のニーズに合わせ造成した商品をスムーズに紹介できるようにした。
今後は6月をめどにステイプラスのモバイルサイトをリニューアルし利用者の拡大を図るほか、5月には各団体旅行支店が造成した趣味性の強い旅行を集めたコンテンツ「テーマトラベルパーク」を正式にリリースし、小口のテーマ旅行の需要取り込みを図る。
JTBのHPは、昨年までユニークユーザーで1日平均20万人のアクセスを誇っていたが、ここにきて2〜3割減少。トップページを見ただけでサイトを退出する離脱率も大きかった。「情報量の多さでは定評があったが、予約を取るサイトとして機能していないのではないか」(JTB旅行事業本部営業企画チーム、鈴木章敬マネージャー)。4月30日にリニューアルした理由だ。
HPで売れている商品は、おおよそ国内宿泊6割、海外ツアー3割、国内ツアー1割という比率。従来のトップページでは各種の情報をまんべんなく並べ、それに伴って文字も多かった。
今回のリニューアルで、ユーザーが求めている国内宿泊をメーンに据え、日本地図を大きく配置した視覚的なデザインに変更した。さらに、トップページから入って予約完了画面まで従来約5回のクリックが必要だったものを約3回に短縮するなど、ユーザビリティの向上を図った。
KNTの新しいHPの画面。大きなボタンを配置するなど工夫