旅行各社、シートベルト着用へあの手この手


 改正道路交通法が6月1日施行され、自動車後部座席でのシートベルト着用が義務化された。一般乗用自動車だけでなく、バスやタクシーについても適用されることから、バスツアーを催行する事業者などは、呼びかけなどで乗客のシートベルトの着用徹底を図っている。改正法の施行で添乗員らの乗客への案内業務も着席して行うようになった。旅客へのサービス面での不便も懸念されているが、現在のところ、特に大きな問題はないようだ。

 改正道路交通法は路線バス以外のすべての車両が対象。高速道路走行中は後部座席に乗車する場合もベルト着用が義務付けられ、違反した場合は運転者に行政処分が科せられる。添乗員やバスガイドも例外ではなく、着席することとなっている。

 約2300のバス事業者が加盟する日本バス協会(会長=堀内光一郎・富士急行社長)は、施行に先立つ4月16日、日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)に対し、文書でシートベルト着用への協力を求めた。具体的には、(1)ツアーの募集パンフレットにシートベルト着用義務化の記載(2)ツアーに同行する添乗員の着用呼びかけの徹底──を求める内容だ。また同協会ではシートベルト着用を呼びかけるステッカーを用意。各バスに貼ることで着用を促している。

 各旅行会社も独自の取り組みを進める。高速ツアーバスを催行するウィラートラベルは従来から行ってきた車内アナウンス強化したほか、案内ビデオの内容を刷新し、今まで以上にシートベルト着用の必要性を強く訴える。

 多くのバスツアー商品を催行するクラブツーリズムでも、従来から添乗員がシートベルトの着用を乗客に呼びかけており、「今回の施行でも対応は変わらない」(同社広報担当)。

 貸切バス事業を手掛ける銀嶺バス(北海道札幌市、渡辺克仁社長)は、独自に作ったステッカーを乗客から見える位置に貼り着用を促す。北海道は移動距離が長いため、高速運行中でも、さまざまなガイド業務の必要性が出る。そのため資料の配布など着席してはできない業務の際には、乗客に対し業務の都合上席を立つことを一言断るようにし、それ以外のガイド業務はシートベルトを着用し着席して行っている。

 添乗業務において今のところ大きな支障はないようだが、「添乗員からは『走行中の適時案内がやりづらい』という声もある」(クラブツーリズム)。「今後着席でも可能なガイド業務を工夫する必要がある」と銀嶺バス。

 一方ツアー参加者からは、着席でのガイド業務に対し「無味乾燥な感じで物足りない」との声もあるが、特にクレームなどはなく、安全上やむを得ないとの考えが利用者にも浸透しているようだ。

 
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