首相が主宰する観光立国推進閣僚会議の下に設置されている観光立国推進ワーキングチーム(WT、座長・鶴保庸介国土交通副大臣)は20日、外国人旅行者の訪日促進に向けて、省庁を横断して取り組む観光施策の中間とりまとめを行った。訪日外国人旅行者数を1千万人、さらには2千万人にするため、新規性の高い施策を立案。コンテンツ輸出や対日投資促進などと連動した行動計画の策定、東南アジア向けの査証(ビザ)の要件緩和などを盛り込んだ。
閣僚会議が3月に発足したことに伴い、ワーキングチームが作業部会として観光施策を検討している。6月中には最終的なとりまとめを行い、閣僚会議が夏までに策定する観光立国の実現に向けたアクションプログラムに反映させる。
情報発信の強化に関しては、オール・ジャパンの態勢を構築し、戦略的に日本ブランドのプロモーションを実施する。具体的には、観光庁、日本政府観光局(JNTO)と、コンテンツの海外発信や輸出を進める「クール・ジャパン」を所管する経済産業省、対日投資を促進する「インベスト・ジャパン」を担う日本貿易振興機構(JETRO)の4者が、訪日外国人の増加を目的とした共同行動計画を定めて施策を推進する。
クール・ジャパンと一体となった訪日旅行の促進では、企業の海外展開を支援するために経産省が法律を制定して創設予定の「株式会社海外需要開拓支援機構」なども活用し、関係省庁と民間企業が連携して取り組む。
ビザの要件緩和では、今年の日ASEAN(東南アジア諸国連合)友好協力40周年を契機として、ASEAN諸国からの観光客に対し、ビザの要件緩和を進めると明記。また、一定の要件を満たした外国人の長期滞在を可能にする制度の導入についても検討する。
出入国手続きの改善も重要視。大型クルーズ船の日本寄港に際しては、審査官が海外の港から乗船して対応する海外臨船審査などについて新たな方策を検討するほか、国際会議の参加者などを対象とした審査レーンを導入して手続きを迅速化する。
国際会議などMICEの誘致、開催に関しては、ユニークべニューの活用を盛り込んだ。ユニークべニューは、会議やレセプションの会場として、歴史的建造物や文化施設を利用する演出。特別なもてなしや地域の独自性をアピールできるとして古城や美術館などを開放する事例がある。ただ、利用手続きが煩雑と指摘されることから、関係省庁、施設関係者などを含めた協議会を早期に設置して方策を検討する。
また、カジノを含む統合リゾート(IR)に関しては、法律制定への要件とされる犯罪防止などの必要な措置の検討を関係省庁で進めることを盛り込んだ。