改正旅館業法、6月15日に施行


営業種別旅ホ統合へ 無許可対策も

 改正旅館業法の施行期日が、政令で6月15日に決まった。違法民泊などの無許可営業の取り締まりを強化するとともに、「旅館営業」と「ホテル営業」に分かれていた営業種別を「旅館・ホテル営業」に統合する。政省令なども公布され、旅館・ホテル営業では、最低客室数の基準を撤廃し、構造設備の要件を緩和するほか、緊急時の駆け付け、ビデオカメラによる本人確認などを条件に、玄関帳場・フロントを設置しないことも認める。

規制緩和 ITで本人確認 フロント代替可

 施行期日は、住宅宿泊事業法(民泊新法)と同じ日。無届けの違法民泊などは、旅館業法の無許可営業に当たる。改正旅館業法では、無許可営業者に対する都道府県知事などによる報告徴収、立ち入り検査の権限を規定。無許可営業の罰金の上限額は3万円から100万円に引き上げ。他の違反への罰金の上限額も2万円から50万円に引き上げる。

 営業種別を旅館・ホテル営業に統合。旅館・ホテル営業の構造設備の具体的な基準などは、1月31日に公布された旅館業法の政省令、厚生労働省が昨年12月15日、今年1月31日に改正して通知した「旅館業における衛生等管理要領」に規定されている。

 旅館・ホテル営業では、現行のホテル営業で10室、旅館営業で5室とされている最低客室数の基準を撤廃し、1室からでも営業が可能となる。1室の最低床面積は、7平方メートル以上、寝台(ベッド)を置く場合は9平方メートル以上と規定した。この他にも、客室、浴室、便所、採光・照明などの基準を緩和し、寸法などの規定の多くを撤廃する。

 旅館・ホテル営業の玄関帳場・フロントでは、「受付台の長さが1・8メートル以上」という寸法の規定を撤廃。さらに宿泊客の本人確認、出入りの状況の確認などに支障をきたさないことを条件に、玄関帳場・フロントを設置しないことを認める。

 玄関帳場・フロントを未設置とできるのは、(1)事故発生などの緊急時に迅速な対応がとれる態勢が整備されていること(宿泊者の求めに約10分程度で職員が駆け付けられる態勢を想定)(2)ビデオカメラなどによる鮮明な画像で宿泊者の本人確認や出入りの状況の確認が常時可能なこと(3)鍵の受け渡しが適切に行われること(必ずしも手渡しの必要はない)―のすべてを満たす場合と定めた。

 また、宿泊者名簿に関する規定が改正される。作成した宿泊者名簿の保存期間は、現行は「3年以上」だが、「3年」に変更される。宿泊者名簿の正確な記載に必要となる本人確認では、対面また対面と同等の手段として、テレビ電話やタブレット端末などICT(情報通信技術)を活用した方法を認める。その要件は(1)宿泊者の顔、旅券が画像で鮮明に確認できる(2)当該画像が施設の近傍から発信されていることが確認できる―と規定した。

 
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