岩手・宮城内陸地震の風評被害払しょくへ、観光関係者が健在アピール


復興支援を呼びかける岩手、宮城のおかみ会ら(19日)

復興支援を呼びかける岩手、宮城のおかみ会ら(19日)

 岩手・宮城内陸地震の復興に励んでいる両県の観光関係者が19日、横浜市で開かれた「旅フェア2008」の会場に駆け付け、「被害は(岩手)県南の一部のみでほとんどの施設は大丈夫。多くの人に訪れてもらい、復興を支援してほしい」と呼びかけた。被災地から遠く離れ、影響を受けていないにもかかわらず宿泊のキャンセルが出始めており、地震などのたびに繰り返される風評被害に観光関係者の表情も曇りがちだ。

 メーンステージには、「皆さまに大変ご心配をおかけしています」「栗駒山周辺以外の主要観光地への旅行は支障ありません」などと書いたチラシを手に持った、両県の旅館・ホテルの支配人や女将ら約10人が上がり、地震の状況を報告した。

 みやぎおかみ会の磯田悠子会長(ホテル松島大観荘)は全国からの激励に感謝した上で、「正確な情報をお伝えしたい。栗駒山近辺以外は何の被害もなく、集中した地震だった。私たちも被災者を援助して一刻も早く元通りになるよう努力している。道路も鉄道も無事走っている。ぜひ出かけていただき、温かい声をかけてもらいたい」と訴えた。

 岩手観光誘致協議会の佐藤康氏(ホテル大観)は、「岩手は広く、9割(の地域)は被害を受けていない。被災地の皆さん、県民とともに(復興に向け)頑張りたい。東北はこれから夏祭りの季節。苦しさを乗り切るために乱舞して元気なところをみせたい」と笑顔で語った。

 いわておかみ会の大沢幸子会長(岩手湯本温泉対滝閣)も「亡くなられた方々の冥福を祈りながら、県民一丸となって復興に努力している。被災は県南の一部のみ。祭りや様々な食もあるので、変わらぬ支援をお願いしたい」と強調した。

 別の女将は「発生後に宿泊のキャンセルが相次いだが、徐々にその数も減りつつある」と胸をなで下ろす。早期の安全宣言を期待するが「近くに被災者がいる状況の中で『ここは無事だから来て下さい』とは強く言えない」と複雑な胸中を明かす。

 「観光客数は例年の3分の1にまで落ち込んでいる」と言うのは平泉町の担当者。近隣の一関市や奥州市が被災し、その間に挟まれている同町も大きな被害を受けたと思われている。「文化財などに大きな被害はなく、道路事情にも特に大きな問題はない」と力を込め、風評を打ち消そうと躍起になっている。

 風評被害が広がるのを防ぐため、東北運輸局と東北観光推進機構は「岩手・宮城内陸地震観光関係者会議」を設置、20日初会合を開いた。

 同会議は東北6県の観光担当者と日観協や日観連、国観連などの東北支部長らで構成。夏の観光シーズンを控え、当面、(1)各県および県観光協会は観光地における被害状況、宿泊・観光施設の営業状況などに関して、最新かつ正確な情報発信を行う(2)宿泊業者は首都圏などでのキャンペーン実施、誘客促進策を検討する(3)旅行業者は正確な情報を本社などに伝達し、東北地方への誘客を依頼する──などに取り組むことを確認した。

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