岐阜県高山市のひだホテルプラザ(堀泰則社長)がこのほど、温泉の掘削に成功した。温泉は地下1千メートル付近から湧出したもので、温度は地上で約30度、湧出量は毎分406リットル。県と管轄保健所の許可が下りた後、11月ごろを目安に温泉利用を始める予定だ。高山市では各宿泊施設が独自に掘削するなどして温泉を導入しており、同館も温泉を顧客取り込みのきっかけとしたい考えだ。今回の湧出で同市中心部に位置する大型ホテルはすべて源泉を持つこととなる。
掘削は昨年11月から今年7月15日まで実施、5日に温泉を確認した。同館では従来麦飯石を用い活性化した弱アルカリミネラル温水を各浴場に供給しており宿泊客にも好評だったが、「宿泊客の天然温泉に対するニーズの拡大と、近隣周辺施設の温泉導入の動きから、温泉掘削を決めた」と堀社長。掘削を含め総事業費約2億円をかけて浴場のリニューアルを行った。温泉の湧出量が当初予想よりも多かったことから、「2つの大浴場に余裕をもって温泉を供給できる」と掘社長。「飛天の湯」と命名した同温泉の成分は現在、分析中で、今月末には分かる予定だ。
今後は市内で温泉を利用している宿泊施設でつくる「飛騨高山温泉協議会」に参加し、「飛騨高山温泉」としてのブランド確立のため近隣施設とPRしていく構えだ。
旅行業免許でミニツアー催行へ ひだホテルプラザ
ひだホテルプラザは5日、旅行業第三種を取得した。今後、館内インフォメーションコーナーと同館ウェブサイトを中心に営業を始める。近隣地域をめぐるミニツアーや着地型観光を組み合わせた宿泊プランを造成、販売することで飛騨高山の魅力発信を進めるほか、付加価値の高いサービスの提供により周辺宿泊施設との競争力強化を図る。
高山市は、乗鞍岳や隣接する長野県松本市の上高地など、周辺にグリーンツーリズム資源を多く持つ。堀社長は「自然資源を生かした旅行商品や飛騨高山の市内ミニツアーなど周辺の魅力をたくさん紹介していきたい」と意欲をみせたほか、台湾などアジアを中心とした地域から上高地を訪れる訪日観光客の需要取り込みにも積極的に取り組む姿勢を示した。