宿泊施設活性化機構、創設記念のカンファレンス開催


 宿泊施設活性化機構(東京都港区、伊藤泰斗事務局長)は14日、東京都港区の綱町三井クラブで「創設記念カンファレンス」を開いた=写真。宿泊業を中心に観光関連産業界から約350人が出席した。

 同機構は宿泊業界の広報団体として昨年5月に発足した一般財団法人。活動目的に、(1)政官広報=国益につながる観光振興を目的として必要な法整備のための政策提言に寄与すること(2)一般国民広報=当業界業務の面白さを、メディアを通じて国民に伝え、就労意向の向上に寄与すること(3)業界内広報=当業界内におけるナレッジシェアを活発化させ、宿泊施設収益の向上に寄与すること—の三つを掲げている。

 基調講演では、観光庁観光産業課の西海重和課長が「官僚の実務責任者からみた『今なぜ観光立国なのか』〜日本政府が考えるインバウンド4千万人達成への道筋〜」、前内閣府副大臣として地方創生、国家戦略特区、クールジャパン戦略などを担当した自民党の平将明衆議院議員が「成長戦略と地方創生と宿泊施設〜観光産業の中核を担うべき宿泊産業に必要な戦略性〜」と題してそれぞれに語った。 

 アワードも実施。レベニューマネジメントについてのイノベーションを実行したとして「アパホテル」に「第1回レベニューマネジメント賞」が贈られ、アパグループの元谷一志社長が記念講演を行った。また、宿泊施設の未来を最も考え示唆する行動を実施したとして「変なホテル」に、「第1回宿泊施設未来大賞」が贈られ、ハウステンボスの高木潔専務が記念講演を行った。

 シンポジウムには同財団の5人の理事が登壇し、リレー形式で講演。宿泊業界へのアドバイスや情報提供を行った。

 旅館再生などを手がける際コーポレーションの中島武社長は「料理人は保守的なのではなく、学習をやめてしまっている場合が多い。市場に直接出向かせるなどして料理人の心をよみがえらせる必要がある」と指摘。

 貸し会議室からホテル運営まで手掛けるTKPの河野貴輝社長は「インバウンドの流れは、MICEの分野でも大きなチャンス。当社は1種旅行業登録も行っており、さらに事業を拡大したい」と話した。

 会員制宿泊施設などを運営するリゾートトラストの伊藤勝康社長は、「ここ10年間で利用客の平均年齢が10歳程度上がり、昨年は70〜75歳になった。人口減少・高齢化社会が叫ばれているが、活動年齢が上がっているので、2030年まで(弊社の)需要は堅調だろう」と述べ、同社の利用者データをもとにした独自予測を披露した。

 また、世界的な不動産総合サービス会社、ジョーンズラングラサールの沢柳知彦マネージングディレクターは民泊の問題点を指摘した。旅館業関連規制の本質を(1)宿泊者安全確保(衛生、避難路、スプリンクラー、難燃材)(2)治安(防犯、疫病)(3)用途規制地域(住宅専用地区、文教地区、風致地区は不可)—と解説。

 その上で「結果として、立地、容積率、施設構成。消費税、宿泊税、登録免許税、固税などの点において、賃貸住宅が優遇されていることになる。空き家・マンション・アパート貸出型の“民泊”を容認するのであれば、旅館業許可先とのフェアな競争環境の醸造が必要だ」と述べた。

 さらに「仲介業者は、賃貸住宅の場合は宅建業者で、宿泊施設の場合は旅行業者になる。ところが賃貸住宅における民泊では、エアビーアンドビーは無規制となっている」と話し、エアビーアンドビーの特異性、違法性を示唆した。

 ホテル格付研究所の北岡剛史所長は、独自に行った「ホテル旅館格付け・品質認証ニーズ調査」の結果を発表。「『格付け情報等を重視する』という回答が、リゾートホテルについては66.3%、旅館は68.1%、ビジネスホテルは30.7%、シティホテルは38.6%だった」とした。「インバウンド市場の拡大を考えた場合、宿泊施設に対する格付け情報などが、重要な観光インフラになりうる可能性がある」と強調した。

 
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