「口蹄疫」の影響で宮崎県の旅館・ホテルなど観光産業が大きな打撃を受けているが、みやざき観光コンベンション協会(会長・佐藤勇夫宮崎銀行会長)は状況を打破するため、「観光緊急応援事業」を実施している。観光客を誘致するイベントや、旅行会社などが企画するキャンペーンに宿泊施設などが連動する企画には補助金を交付することなどでテコ入れを図る。
「スポーツ大会や観光イベントなどが相次いで延期や中止に追い込まれた。修学旅行や団体旅行なども次々とキャンセルされ、今後の予約も入らない。旅館・ホテルや観光施設などは、今後の経営に影響を与えるほどの大打撃を受けている」。同協会は口蹄疫の影響をこう語る。
同協会によると、宿泊予約のキャンセルは5月末時点で約1万8千人に達している。また、6月25日現在、175のイベントが中止され、401イベントが延期、県外の宮崎への修学旅行中止も3校あった。
「キャンセルも非常に痛いが、(夏の旅行シーズンを控え)宿泊予約が入らないのが大きな問題だ」と頭を抱える。今回の応援事業が活力回復に結びつくことを期待している。
事業は観光みやざき振興基金約1億5700万円のうち、4千万円を充て、(1)催しの開催(2)特典企画の実施──の2つを計画、趣旨に沿う企画を公募している。
まず、(1)については、口蹄疫の終息後、県内26市町村で早期に行われる催しで、県内外から多くの観光客の参加が見込まれる新規事業を対象としている。催しの参加者が県内の旅館・ホテルに泊まったり、飲食店で消費するなど「相応の経済効果が見込まれる催し」としている。口蹄疫の影響で延期や中止された催しの再開などは対象外となる。
実施主体は市町村や民間企業、団体などで、補助限度額は参加者数が100〜249人が60万円、250〜499人が80万円、500人以上は100万円。
(2)は、旅行会社などが企画する観光キャンペーンなどと連動した特典企画の実施に対し、補助金を交付。(1)と同様な条件を満たしている必要があるが、「県内の旅館・ホテル、飲食業、その他の観光関係事業者が参加するものであること」としている。
具体例として、旅行者へのクーポン券の発行、外食時における県産品の提供、オリジナルグッズのプレゼントなどを挙げている。
補助限度額は100〜399人が40万円、400〜699人60万円、700〜999人80万円、1千人以上100万円。
事業の申請期間は8月6日。「問い合わせは多いが、実際の申請件数はごくわずか」という。問い合わせ先は同協会観光推進局、TEL0985・26・6100。