観光庁が10月31日に発表した宿泊旅行統計調査の結果、2016年8月の外国人延べ宿泊者数(第2次速報値)が前年同月比3・6%減の582万人泊となった。中華圏の春節(旧正月)の休暇時期の変動、尖閣諸島の問題の中国人旅行者への影響などで落ち込んだ13年1月以来、3年7カ月ぶりに前年同期の実績を下回った。
大都市・地方別で見ると、三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の8都府県)が6・5%の減少だった。一方で、地方部(三大都市圏以外)は1・0%の増加となった。
市場別では、中国が6・3%減の166万人泊、台湾が13・8%減の78万人泊、香港が0・4%減の45万人泊となるなど、ビジット・ジャパン(訪日旅行促進)事業の主要20市場のうち11市場が前年同期の実績を下回った。
外国人延べ宿泊者数は前年同月の実績を割り込んだが、同じ8月の訪日外国人旅行者数は204万9千人で前年同月比12・8%増だった。観光庁の訪日外国人消費動向調査の結果で平均宿泊日数に大きな変化がないことから、旅行者数の増加が宿泊者数の伸びに結び付かなかった要因は、クルーズ船の寄港に伴う船舶観光上陸の増加などとみられる。
民泊の拡大が影響している可能性もある。宿泊旅行統計調査では、旅館、ホテル、簡易宿所など旅館業法の登録を受けた宿泊施設を対象に調査し、国内全体の宿泊者数を推計しているが、他の形態による宿泊や、現行制度で違法な民泊などは宿泊者数に反映されていない。
一方で、16年9月の外国人延べ宿泊者数の第1次速報値は、前年同月比5・0%増の524万人泊でプラスに転じている。第1次速報値のため、11月末公表予定の第2次速報値では数値が変更になる。