岩手県観光協会(佐藤義正理事長)と岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合(澤田克司理事長)は、岩手・宮城内陸地震の風評被害に伴う観光客減少の対策として、宿泊割引券総額1億円分を1万人にプレゼントするキャンペーンを計画している。今月7日には、両理事長が岩手県の達増拓也知事にキャンペーンへの予算補助を求める要望書を手渡した。県は補正予算の編成を視野に支援を検討している。
6月14日に発生した内陸地震では、建物や道路への被害があった一部地域に限らず、広範囲にわたって宿泊予約のキャンセルが多発。7月24日に起きた岩手北部地震のイメージも重なり、宿泊施設では予約が伸び悩み、岩手観光全体に深刻な影響を与えている。
両団体は本格的な対策の必要性で一致、県に支援を求めることにした。キャンペーンの計画案は、今年10〜12月に対象の宿泊施設に宿泊した旅行者に応募券を配布し、抽選で1万人に宿泊割引券1万円分(2人分各5千円)を贈るもの。割引実施期間は12月〜来年2月末。対象施設には、同組合の加盟施設以外にも参加を呼びかけることを検討している。
事業費は、宣伝費などを含めて1億2千万円を見込む。参画する宿泊施設自体が一定の割引分を負担するが、県にも支援を要請。補助要望額は4500万円で、内訳は宿泊割引補助2500万円、宣伝費2千万円。
観光協会の佐藤理事長は「風評被害は想像していた以上に長引いており、宿泊予約をはじめ観光全体への影響は深刻な状況。秋以降にも危機感が強い。県にも支援をお願いし、大型キャンペーンを実現させたい」と訴える。
岩手県では、県、JR東日本などによる「いわて・平泉観光キャンペーン」が9月末に終了する。観光協会では、切れ目なく大型キャンペーンを打つことで、地震によるマイナスイメージを払しょくし、誘客促進につなげていきたい考えだ。
県では、復興に向けて知事を先頭に全庁的なプロジェクトチームを結成して「がんばろう!岩手」運動を推進している。県観光課は「観光への風評被害には何らかの対策を講じる必要がある。要望を受けた支援については補正予算での対応を念頭に検討中」としている。