国際会議誘致重点会議、横浜副市長ら講演


 国土交通省主催の国際会議誘致重点会議が21日に開かれ、横浜市の野田由美子副市長と、ちば国際コンベンションビューローの東條秀彦・市場調査課長がそれぞれ講演した。両氏ともに、大型国際会議の誘致、開催についての具体的な事例を紹介。国際競争の激化を踏まえ、誘致活動では自治体、国、企業など関係機関の連携が重要だと訴えたほか、市民参加型の開催支援や専門人材の育成の必要性も提言した。

 横浜市の野田副市長は「実際に誘致活動を手がけてみて、競合国、競合都市との競争が非常に厳しいと感じた」と語った。横浜市は今年3月、スペイン、カナダ、メキシコの各都市と競い合った上で、2014年の国際社会学会の世界会議(参加予定者約5千人)の誘致に成功した。

 誘致の成功要因には、市、横浜観光コンベンションビューロー、会議施設の連携とともに、政府、国際観光振興機構(JNTO)、神奈川県などと協力した推進態勢が機能したことを挙げた。国交省のキーパーソン招請プログラムを活用し、国際学会会長を横浜に招待したほか、国交相、県知事などに発出を要請した複数の招請状も奏功した。

 野田副市長は「国際競争を勝ち抜くためには、国、自治体の連携をさらに強化すべきだ。それと同時に、民間事業者の協力、国際会議に対する市民の理解を促進する必要がある」と語った。

 国際会議を誘致、開催する意義を市民に理解してもらうためには、「市民が開催にどうかかわるかが重要だ」と指摘。今月28〜30日に横浜市で開催の「アフリカ開発会議」に合わせて実施した市民参加型の「アフリカ月間」の取り組みを紹介した。

 例えば、小学校1校にアフリカの1つの国を割り当てて、各国大使らを招いてその国について学習する「1校1国プロジェクト」。民間企業の協力により、特定の商品を購入するとアフリカの食糧問題の改善に寄付ができる「ハラペコを救え」キャンペーン。これらに加え、アフリカに関する市民講座やイベントなど数々のプロジェクトを展開した。

 野田副市長は「ホスピタリティあふれる開催には、国際都市、横浜に住む363万人の市民力の発揮が欠かせない。ボランティアを含めた一体の取り組みが重要」と指摘した。

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 ちば国際コンベンションビューローの東條課長は、今年4月に千葉市で開催した6500人規模の国際会議の誘致事例を紹介した。この会議の場合、情報入手から誘致実現まで約13年間の月日がかかった。

 東條課長は「情報を入手して以降、キーパーソンの招請や本部訪問などを実施したものの開催は決まらず、あきらめかけていたが、視察希望の打診が来た。大きな会議の場合はこのように時間がかかることもある」と振り返った。「13年の間にはスタッフの異動もあったが、スムーズに対応できたのは、これまでの誘致活動の履歴をデータベース化していたため」と説明。常にデータベースを重視したマーケティング、セールス活動を展開していると強調した。

 また、東條課長は、開催地としての地位を急上昇させている韓国の情勢に詳しい。「韓国は、『コンベンションは観光の華』という合言葉で誘致、開催の推進態勢を強化しており、従事者の意識も高い」と指摘。韓国の大学には観光学部が多いが、コンベンション学科も多く開設され、専任教授もいるという。

 東條課長は「日本は人材育成の面で特に遅れている。アジアで開催地を周回する国際会議は数々あるが、日本で一度も開催されていない会議も相当ある。日本は、海外の取り組みをどん欲に吸収し、インフラの整備を進めるべきだ」と訴えた。

 
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