国際相互理解の促進、インバウンド振興に向けた活動を担う国際交流サービス協会(東京都千代田区)は13日、「日本の観光立国~課題と展望~」と題した講演会を東京・六本木の国際文化会館で開催した。講師は、著書「新・観光立国論」がベストセラーになり、日本の観光政策に積極的な提言を行っている小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏。政府の招へい事業に協力している通訳案内士など約100人が参加した。
講演でアトキンソン氏は、国際観光の目的地となるための重要な要素として、(1)自然(2)気候(3)文化(4)食事―の四つを挙げ、日本はこれらの要素に多様性がある非常にまれな国と指摘。
日本が2020年までにインバウンド4千万人を目指すのであれば、最も潜在力が高いのはアジアではなく、欧州であり、しっかりとデータを分析した上で、欧州に対する戦略的なマーケティングを行う必要があると述べた。
課題としては、大切な文化財でも外国語による解説が不十分で外国人旅行者の高い満足が得られず、禁止事項の掲示が多いことから、あまり歓迎されていないのではないか、と思われてしまうような現状を例示した。
また、欧州の人たちは文化に高い関心を示すが、それ以上に自然観光に対する期待が高く、自然体験的な観光に関する発信が今後重要になるとも指摘した。
講演会後の参加者へのアンケートでは、「外国人(観光客)目線での指摘がとても参考になった」「通訳案内士の果たすべき役割が見えてきた」「日本の観光資源は魅力的だが、宝の持ち腐れになっていることに気が付いた」などの感想が寄せられた。