国交省懇談会、国内旅行の需要喚起へ「休暇のあり方」提案


 国土交通省の「国内旅行需要喚起のための休暇のあり方懇談会」(座長・山内弘隆一橋大商学部長)は16日、(1)休暇取得の方策(2)国内旅行誘導策──など4つの論点を軸に検討を行い、様々なアイデアを「提案」として整理した中間報告をとりまとめた。企業の社会的貢献(CSR)に着目した休暇100選の選定・顕彰、学校に対しては地域の独自性を生かした休業時期の分散化などの考え方を示すとともに、国内観光の魅力向上と旅文化の発信のため「旅の達人キャンペーン」や「人生に一度は行こう美しい日本遺産プロジェクト」などの実施を勧めている。

 中間報告を受け、同省はシンポジウムなどを通じて関係者や国民の意見を広く求める。最終報告書は6月をめどにまとめる方針だ。

 労働者1人あたりの年次有給休暇(年休)の取得率は低下傾向にある。この改善が大きな課題。中間報告は企業に休暇取得の義務を課すのには慎重な姿勢をとっているが、年休の取得促進は欠かせないとの判断のもと、施策の1つとしてCSRに着目した。

 具体的には、CSRの一環として、企業にとってゆかりのある地域(創業の地、創業者の出身地など)や業種的に見て関連のある地域、施設、社会的に話題となっている場所(熊野古道など景観保全を必要とする世界遺産の保全)に対する支援活動のための休暇取得の取り組みを選定し、「CSR休暇100選」(仮称)として顕彰するもの。

 学校の休暇制度についても言及し、(1)2学期制の導入など学校休業の多様化・柔軟化(2)学校、家庭が一体となった臨海・林間学校の普及促進(3)地域の独自性を生かした休業時期の分散化──などを提案。

 一方で、休暇が増えても国内旅行の促進につながるとは限らない。旅に出ようと思う動機付けが必要となる。中間報告では、観光魅力の向上と旅文化の発信として8項目を挙げた。

 まず、各世代のオピニオンリーダー的著名人を「旅の達人」として選び、テレビ番組や雑誌などのメディアを通じて新たな旅の楽しみ方を紹介する。

 また、日本遺産プロジェクトについては世界遺産に匹敵する歴史建築や日本ブランド、祭り、伝統行事など「日本人自らが日本文化を知るためのプロジェクト」と位置づけた。

 個人旅行の増加とともに、旅のテーマ性が求められていることを踏まえ、(1)企業とタイアップした産業観光(2)医療機関、スポーツクラブ、食品メーカーとタイアップしたヘルスツーリズム(3)カルチャーセンター、文化教室とタイアップした文化観光──など、テーマやニーズにあった新しい旅行プログラムの促進も掲げた。

 「国内旅行には金がかかる」という指摘もあることから、コスト低減にも言及。宿泊関係については、欧米並みの室料金制、泊食分離、連泊割引制の導入など「旅行者の選択肢の拡大に合わせた取り組みを推進する」よう求めるとともに、企業の保養所、貸し別荘、民宿などの活用も図り、宿泊施設の種類、料金の多様化を提案している。

 
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