国交省、観光地域プロデューサー事業をスタート。人材を地域に橋渡し


 事務局長を全国公募した観光協会が話題となるなど、地域の内外を問わず有能な人材を幅広く募集する動きが注目されているが、国土交通省は今年度、観光地づくりのけん引役となる人材の重要性に着目した「観光地域プロデューサー」モデル事業を始める。旅行会社OBやまちづくり活動の経験者など、観光分野に知識や経験を持ち、地域と一体で活動する熱意のある観光地域プロデューサーを選定し、人材を必要としている地域に橋渡しする。5地域程度をモデル地域として採択し、6月中旬から観光地域プロデューサー志望者の募集も始める。

 国交省は5月25日からモデル地域の募集を開始。応募主体は市区町村となるが、観光地域プロデューサーの雇用者は観光協会、温泉組合などでも構わない。地域は、観光施策の概要、観光地域プロデューサーに期待する業務や処遇などをまとめて応募する。締め切りは6月15日まで。

 国交省は、事業を実施する地域に対し、有識者でつくるモデル事業検討会とともにアドバイスを行っていくほか、観光地域プロデューサーの業務にかかる費用のうち旅費や会議費、広告費などを助成する。ただし、人件費は地域が負担する。

 観光地域プロデューサーの業務内容は、地域ごとに異なるが、事業や計画策定への助言、会議への出席など限定的なものにとどまらず、地域と雇用関係を結び、地域または周辺地域に居住するなど、地域観光の活性化に重要な役割を果たすことが期待される。来年3月末の事業終了後も、一定期間の受け入れが地域に求められている。

 観光地域プロデューサーの志望者は、ホームページなどを通じて一般公募し、モデル地域とモデル事業検討会で選考作業を行う。書類審査の後、5日間程度の研修を修了した者の中から選定する。8月中には人選を終え、各地域での活動開始は10月からを見込む。

 国交省観光資源課では「人材を求めるには、地域が抱えている課題、進むべき方向性が明確になっていることが重要だ。一方、人材の側には、何ができるのかが問われる。地域と人材が共通の認識に立ち、観光振興に取り組んでいくモデルを構築したい」と話している。

 国交省では、モデル事業の成果をみながら、人材を必要とする地域情報、地域で活躍したい人材情報、双方の情報を集積したデータベースを作成し、地域と人材の出会いの場となる継続的な仕組みとしたい考えだ。

 
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