国土交通省北海道運輸局はこのほど、道内のスキー場や観光の関係者を集めた「地域のスキー場活性化検討委員会」を設置した。外国人スキー客の誘致に成功するスキー場がある一方で、地域の小規模スキー場などでは日本人客の減少で経営が悪化しているところも多く、地域経済への影響が懸念されている。委員会では、モデル事業として3〜4軒のスキー場を対象に活性化策を提言、今冬のシーズンに実践してもらう。
北海道運輸局が道内スキー場の総合活性化戦略として推進している「SKIING JAPAN HOKKAIDO PROJECT」の一環。3月に準備委員会を、5月に初会合を開いた。委員長には、伏島プランニングオフィスの伏島信治代表が就いた。
委員会では、モデル事業のほか、道内スキー場の現況調査、道外スキー場との比較調査などを通じて活性化方策を探る。スキー場産業の経済波及効果の試算にも取り組む。委員会の活動成果をスノー人口の底上げやスノー文化の振興、地域経済の活性化につなげたい考えだ。
モデル事業では、公募の上で3〜4軒のスキー場を7月ごろに選定、委員会が個々の課題に見合った具体的な活性化策を打ち出す。「集客や宣伝などソフト面の施策が中心になるが、特色を持ったプログラムを提案したい」(委員会事務局 = 同運輸局交通企画課)。各スキー場に活性化策を実践してもらい、この結果を検証、他のスキー場にも成功事例として紹介する。
道内のスキー場は、93年の142軒をピークに、06年には111軒に減少。減少数としては全国で最も多い。推定来場者数は、91年の860万5千人から05年には466万7千人に落ち込んでいる。
ニセコなどの大規模スキー場では、外国人客の誘致で日本人客の減少をカバーしている。これに対し、道内各地域の小規模スキー場は、スキー人口の縮小などで日本人客が減少、児童生徒のスキー授業といった周辺地域からの利用も減っているとみられ、きびしい経営を迫られているという。