全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部(桑田雅之部長=長野県・菅平高原温泉ホテル)は13日、群馬県前橋市のグリーンドーム前橋で第23回全国大会を開いた。全国の青年部員らおよそ800人が参集。式典で桑田部長は旅館・ホテル業界で懸案となっている民泊問題について、「地方から声を上げてほしい。国会議員、都道府県知事、市町村長、地方議員に直接会って陳情をお願いしたい」と集まった部員らに訴えた。業界の主張をアピールする「決起大会」を開きたい意向も示した。
全国大会は隔年の開催。通常は次期部長の紹介や祝辞、各種の表彰が主な内容だが、今回は民泊問題に多くの時間を割いた。
一般の民家やマンションに観光客らを有料で泊める「民泊」を認める新法の法案が来年の通常国会に提出される見込みだ。
法案の内容を巡っては、民泊に慎重な旅館・ホテル業界と、民泊を推進したい不動産業界が真っ向から対立している。旅館・ホテル業界は民泊の営業日数を「年間180日以下の範囲内で適切な日数」にすることと、地域の実情に応じて地方自治体が条例で営業を制限できるようにすることを求めている。
一方、不動産業界は「営業日数の下限を年間180日にする」「条例での制限を行わない」ことを主張している。
青年部政策担当副部長の西村総一郎氏(兵庫県・西村屋本館)は一連の民泊問題の経緯を説明。不動産業界が自民党賃貸住宅対策議員連盟(ちんたい議連)に陳情攻勢をかけているほか、12月5日に東京で自民党員2500人を集めて「決起大会」を行う予定であることを説明した。
桑田部長は「国会議員や省庁から『(旅館・ホテル業界は)地方から声が上がっていない』と言われる。不動産業界は猛烈な政治活動を行っている。閣議決定された『年間180日以下―』を覆そうとしている。全ての都道府県旅館・ホテル組合で、地元選出の国会議員、知事らに直接会って、われわれの主張を訴えてもらいたい」と述べた。
桑田部長はまた、「われわれも決起大会をすべきだ。親会(全旅連)に検討してもらっているが、しないのであれば青年部が行うつもりだ。われわれの思いをしっかり伝えて、やるべきことをしっかりやって結果を待ちたい」と述べた。
9月15日の臨時総会で平成29、30年度の次期部長に内定した西村総一郎氏(政策担当副部長)が会場に紹介された。西村氏は「観光がこれからの日本を支える。そして観光を担うのはわれわれ宿泊業だ。私たちが日本の未来を救うのだという自信と誇り、自覚と覚悟を持たねばならない。皆さんと力を合わせて取り組んでまいりたい」と述べた。
式典には来賓として、全旅連の北原茂樹会長(京都府・旅館こうろ)、自民党観光産業振興議員連盟の高階恵美子事務局長、群馬県の大澤正明知事、前橋市の山本龍市長らが出席、あいさつした。
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式典後は2カ所の会場に分かれて分科会を実施。青年部流通対策委員会とインバウンド対策委員会は、エクスペディアホールディングス代表取締役日本・ミクロネシア地区統括本部長のマイケル・ダイクス氏らを呼びパネルディスカッション「どうなる、海外のOTAが見たこれからのニッポン」を開催。
宿の未来事業創造委員会は日本学生観光連盟との共催によるインターンシップ事業の報告と第3回「旅館甲子園」のファイナリスト発表を行った。
旅館の魅力や旅館で働く喜びを経営者と従業員がアピールする旅館甲子園は来年2月22日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催。今回、舞台に立つ5軒が選考により選ばれ、発表された。
ファイナリスト5軒はホテル松本楼(群馬県)、春蘭の宿さかえや(長野県)、南天苑(大阪府)、小宿縁(兵庫県)、名泉鍵湯奥津荘(岡山県)。