全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部(西村総一郎部長=兵庫県・西村屋本館)は1月23日、東京の都道府県会館で「平成29年度第3回県部長サミット・出向者スペシャルサミット」を開いた。「現在の宿泊業界を取り巻く商体系」をテーマに西村部長ら3氏が議論。OTA(オンライン・トラベル・エージェント)とメタサーチの台頭、民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行など、宿泊業界を取り巻く環境が激減する中、「未来を開くために変化が必要」と、旅館・ホテル、旅行業双方の意識の変化を促した。
パネリストで参加したのは観光庁参事官の黒須卓氏、大妻女子大学教授の玉井和博氏、西村氏の3氏。
宿泊業界を取り巻く問題点について黒須氏は「働き方改革」「生産性向上」を挙げつつも、「(日本旅館は)お客さまに付加価値を提供するところで、単に寝る場所や食事を提供するところではない。生産性向上は大事だが、本来の目的を見失わないでほしい」と要望。
玉井氏は「不合理なルール」ともいわれる旅行会社によるブロック客室の返室ルールについて、OTAなどの台頭を踏まえて「BtoB、BtoCの時代からCtoCの時代に移ると(旅行会社の)在庫の考え方もがらりと変わるだろう」と述べた。
新法で合法化される民泊については、「地域の特性に沿って行うことが大事」(黒須氏)、「旅館・ホテルと競合しないホームステイ型は観光立国の観点から伸ばすべき。投資型は厳しい法律で対処すべきだ」(玉井氏)と指摘。
西村氏は県や政令指定都市、特別区で議論されている民泊の制限上乗せ条例について「そこに住む人の意思を反映させることが大事だ。われわれが問題提議をして、住民の意思を問わなければならない」と青年部員らに呼び掛けた。