帝国データバンクが今年8月、全国の企業に行った景気動向調査によると、同月の景気動向指数(景気DI=0〜100、50が判断の分かれ目)は30.3で、前月比0.9ポイント悪化した。6カ月連続の悪化で、03年5月(28.5)以来、5年3カ月ぶりの低水準となった。業界別では不動産が過去最低を記録。地域別では10地域中、東北を除く9地域で悪化した。「企業活動は停滞感が増幅。国内景気は後退局面が続いている」(帝国データバンク)。
調査は全国企業2万1千社に行った。有効回答企業は1万751社で、回答率51.2%。
業界別では不動産が25.2で、前月比2.5ポイント悪化した。世界的な金融市場の混乱や信用収縮、マンション不況など購買意欲の低下により、過去最低を記録した。10業界中、建設に次ぐ低水準となった。
建設は24.4で、同1.1ポイント悪化した。公共工事の減少や脱談合の加速、改正建築基準法、資材高などが影響、03年4月(24.3)以来、5年4カ月ぶりの水準に悪化した。
製造は32.4で、同0.5ポイント悪化した。サブプライム問題による外需の減速や原材料価格の高騰で、03年6月(32.1)以来、5年2カ月ぶりの低水準となった。
小売は28.0で、同0.3ポイント悪化した。生活必需品などの物価高と政策不信により家計の節約志向が強まり、03年4月(27.7)以来、5年4カ月ぶりの低水準となった。
運輸・倉庫は29.8で、同0.2ポイント改善した。海運は一部好調だが、燃料費が上昇する中、自動車運送を中心に厳しい状況が続き、低水準が続いた。
地域別では南関東が32.0で、同1.3ポイント減。10地域中、悪化幅が最も大きかった。このほか東海は31.7で、同0.6ポイント減。近畿は31.2で、同0.7ポイント減。景気回復をけん引してきた都市圏の悪化に歯止めがかからない。
東北は26.7で、同0.3ポイント増。6カ月ぶりに改善した。宮城県における底堅い建設需要や、岩手・宮城内陸地震の復興需要などが影響した。