帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の2月分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比1.2ポイント減の42.3と、3カ月連続で悪化した。東日本大震災直後の2011年4月以来、4年10カ月ぶりに2カ月連続で全国全ての地域が悪化した。業種別では、旅館・ホテルが同2.2ポイント減の54.7と、2カ月ぶりに悪化した。
「建設需要の低迷や鋼材生産の大幅悪化に加えて、マイナス金利の実施が金融機関の景況感を大きく悪化させた」と同社。
DIを10の業界別に見ると、金融、建設、小売など8業界が悪化。農・林・水産と不動産の2業界が改善した。
金融は同1.0ポイント減の44.3と、4カ月連続で悪化。為替相場の変動や株価下落のほか、日本銀行によるマイナス金利実施など、金融市場に与える要素が多く見られた。
建設は同2.0ポイント減の45.9と、3カ月連続で悪化。人材不足で人件費が高騰し、コスト負担が高まる中、公共工事の減少が企業業績に悪影響を及ぼす状況が続いている。
51の業種別では、前月比で改善したのは電気・ガス・水道・熱供給、人材派遣・紹介など12業種にとどまった。サービス業では旅館・ホテルが悪化したほか、飲食店(同5.0ポイント減の42.1)、娯楽サービス(同1.8ポイント減の37.3)など、15業種中10業種で悪化した。
地域別では、全10地域で悪化した。このうち東海は同1.8ポイント減の43.6と、2カ月連続で悪化。自動車メーカーが国内車両工場全ラインの稼働を6日間停止した影響が大きく、愛知を含む4県全てが悪化した。
四国は同1.6ポイント減の45.1と、3カ月連続で悪化。公共工事の低迷を受けて建材・家具などの製造業が落ち込んだほか、消費低迷を受けて娯楽サービスなどのサービス業も大きく悪化した。
北海道は同1.1ポイント減の37.9と、3カ月連続で悪化した。少雪で除雪工事などが落ち込み、建設業が3年ぶりの低水準となった。「期待された春節による外国人観光客の消費拡大も景気を押し上げる力強さはなかった」(同)。
旅館からの主なコメントは次の通り。
「レストランなど個人消費に係る部門の売り上げが減少傾向」(現在、悪い)。
「プレミアム宿泊券で需要の先取りをしてしまった。これからしばらくは反動に苦しむことになるかもしれない」(先行き、悪い)。
「ブリックスを中心とする資源産出国の景気減速の影響で、法人の業績が落ち込む懸念が大きい」(先行き、悪い)。