帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の今年7月分の結果を公表した。それによると、同月の景気動向指数(景気DI=0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比1.2ポイント増の33.5で、7カ月連続で改善した。アジア圏の好調な需要で製造業などが改善を持続。ただ、内需は政策頼みによる特需の面が強く、自律回復の動きが弱いと同社では指摘しており、今後は回復が続くものの、踊り場局面入りの可能性もあるとしている。
調査は全国企業2万2557社に実施。このうち1万1446社から有効回答を得た。
DIを10の業種別にみると、製造、小売、サービスなど9業界が前月比改善。1業界が悪化した。
製造は1.4ポイント増の36.7。「機械製造」「化学品製造」などが改善。景気回復をけん引してきた「電気機械製造」「輸送用機械・器具製造」なども改善した。ただ、内需が政策頼みの面が強く、欧米の景気減速や円高も影響したことで、各業種の改善ペースは大幅に縮小した。
小売は1.9ポイント増の33.7。「自動車・同部品小売」がエコカー補助金の駆け込み需要が見られたことで大きく改善。「家電・情報機器小売」も政策効果や猛暑によるエアコンの販売増で、2カ月連続で改善した。「飲食料品小売」「繊維・繊維製品・服飾品小売」は個人消費が弱く、2カ月連続で悪化した。
サービスは0.8ポイント増の33.7。「教育サービス」「飲食店」が改善したが、「旅館・ホテル」(0.4ポイント減、26.1)、「娯楽サービス」(増減なし、30.2)は需要期に入ったものの改善には至らなかった。
建設は1.5ポイント増の26.1。3カ月連続で改善したが、他業界に比べて水準は際立って低い。公共事業が削減され、民需の回復も弱く、長期低迷が続いている。
唯一悪化したのは「その他」で、3.7ポイント減の21.9だった。
全業種の今後の景気予測DIは、1カ月後が当月比1.3ポイント増の34.8、3カ月後が2.0ポイント増の35.5、6カ月後が1.5ポイント増の35.0。
欧米の景気減速や円高の定着で今後の輸出動向に厳しい見方を示す企業が増えている。また、エコカー補助金など各種政策支援の期限切れ後は国内景気が伸び悩む可能性もあると同社では指摘している。