帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の5月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月から横ばいの46・5だった。「国内景気は東京五輪や復興需要などの建設関連が旺盛だったものの、人手不足による負担増もみられ、ここのところ続いていた景気回復が一服した」(同社)。業種別では、旅館・ホテルが前月比0・5ポイント増の49・4と、2カ月ぶりに改善した。
10の業界別では、小売、建設など5業界が改善。旅館・ホテルを含めたサービスなど5業界が悪化した。
小売は同0・4ポイント増の40・2と、2カ月ぶりに改善。6月からの改正酒税法施行を前にした酒類のまとめ買いや、ジャガイモの生育不良による代替需要でスナックなどの菓子類が好調だった「飲食料品小売」などの業種が改善した。
サービスは同0・5ポイント減の50・4と、9カ月ぶりに悪化した。外食費の節約傾向に加え、ゴールデンウイーク後の客足鈍化があった「飲食店」などが悪化した。
10の地域別では、北海道など4地域が改善、近畿など6地域が悪化。
北海道は同1・8ポイント増の46・1と、4カ月連続で改善。2013年7月(2・6ポイント増)以来、3年10カ月ぶりの改善幅となった。公共工事が増加傾向にある建設などの業界が改善した。
近畿は同0・5ポイント減の44・7と、9カ月ぶりに悪化した。主要輸出先である中国の生産減退が響いた製造などの業種が悪化した。
企業の主な声は次の通り。
「熊本地震からの復興需要で燃料配達が増加している」(現在、良い、ガソリンスタンド)。
「クルーズ船の寄港決定があり気分的には明るい」(現在、良い、運輸に付帯するサービス)。
「初乗り短縮運賃の導入で運行回数、稼働台あたり運送収入は上がっているが、稼働率が悪いので総運送収入が伸びない」(現在、悪い、一般乗用旅客自動車運送)。
「外食にかける費用が減った」(現在、悪い、中華料理店、その他の東洋料理店)。
「大阪では観光客人気が継続し、ホテルも次々と完成するので、景気自体はもっと良くなることが見込まれる」(先行き、良い、不動産代理業・仲介)。
「人口減の上に競合が激化する見込みであり、年々環境が悪化してくるだろう」(先行き、悪い、スーパーストア)。